帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「光と闇、ふたたび」

「光と闇、ふたたび」
ウルトラマンデッカー』第8話
2022年9月3日放送(第8話)
脚本 ハヤシナオキ
監督 坂本浩一

 

ウルトラマントリガー
身長 53m
体重 4万4千t
カナタやユナの協力を得てスフィアメガロゾーアからカルミラを救い出す。
その後、カナタにウルトラデュアルソードとトリガーのウルトラディメンションカードを託して火星に戻った。

 

超古代植物ギジェラン
身長 53m
体重 4万2千t
快楽物質を含んでいる花粉をまき散らして吸い込んだ人間に理想の世界にいるような夢を見せる。
元々は超古代の植物で、カルミラがメガロゾーアに変化した過程で偶然取り込んだ種の化石がスフィアの影響で発芽した。
道端に咲いていた小さい花が成長してビルを突き破る程に巨大になったがTPUが用意した除草剤によって枯れた。

 

邪神スフィアメガロゾーア(第二形態)
身長 66m
体重 6万9千t
ギジェランを守るように地下から姿を現してナースデッセイ号のネオマキシマナースキャノンを防ぐ。
カルミラが抜け出ると最後はグリッタートリガーエタニティのグリッターゼペリオン光線、デッカー・フラッシュタイプのセルジェンド光線、カルミラのカルミラフィンガースパークを同時に受けて倒された。

 

妖麗戦士カルミラ
身長 49m
体重 3万9千t
前回の戦いで出来たスフィアメガロゾーアの傷をトリガーがウルトラデュアルソードでこじ開けると中から現れ、ユザレの力を得たデッカー・ミラクルタイプの超能力によって助け出された。
トリガーやデッカーと協力してスフィアメガロゾーアを倒すとトリガーと一緒に地球を離れてダーゴンとヒュドラムの魂を手に新しい居場所を探す旅に出た。

 

物語
メガロゾーアだけでなくカルミラも復活していた事に気付いたケンゴ。
一方、道端に咲いた謎の花の甘い匂いを嗅いだ人々は幸せそうな笑顔のまま深い眠りに就いてしまう。

 

感想
カルミラを笑顔に出来なかった事を悔やむケンゴに対してカナタは相手は人類の敵である闇の巨人だと抗議する。
ケンゴは元々は人間ではないので「皆を笑顔にする」の「皆」に人間以外の存在も含める事が出来るのだが、人間であるカナタはこの時点ではまだ人間以外の存在まで含めて守るとは言えないところがあった。
ケンゴもカナタもヒーローとしての考えがしっかりあるのだが事情の違いからお互いの考えにズレが生じてしまったと言うのは客演モノの話の面白さの一つと言える。

 

ギジェランの花粉を浴びたカナタは「煎餅屋が繁盛する夢」を見るがケンゴの「君は何の為に戦うの?」と言う言葉でGUTS-SELECTの皆とやりたい事は煎餅を売る事ではないと考えるようになる。
煎餅を売っていた頃はGUTS-SELECTやTPUに守られる存在であったカナタだがウルトラマンになってGUTS-SELECTに入隊して戦う力を得た事で考えに変化が起こるようになる。

 

ギジェランの元ネタは『ティガ』の「永遠の命」に登場したギジェラ。
今回は都市部に出現しているので『Q』の「マンモスフラワー」っぽいところもある。

 

今回は深掘りされなかったが「皆を笑顔にする」と言うケンゴに「快楽物質で笑顔になる人々」を出してくるのはエグいなぁ。
『ティガ』の「永遠の命」と言う元ネタがあっての展開なのだが『トリガー』のテーマの一つが「笑顔」だったのでここを掘り下げたらかなり印象に残る話になった気がする。

 

ユナ再登場。今はシズマ会長の秘書をしているので地球に残っていた。
現在は周りにトリガーもGUTS-SELECTもいないからか周りにSPが付いている。
将来は父の仕事を継ぐとなっているのでTPUの要職に就く予定だと思われる。仕事の為に人前では笑わないようにしていると言うところから現在の彼女の苦労が見える。
因みに現在のユナの設定年齢は28歳。『ティガ』のホリイ隊員と同い年である。

 

超古代ではギジェランの花粉を薬として使っていた事もあったのでケンゴの中の記憶で笑顔とギジェランの花が無意識に結び付いてルルイエの花を生み出したとの事。
ルルイエは普通の花とはちょっと違うと思っていたがやはり超古代関係であったか。
どうして『トリガー』ではルルイエは普通の花だったのか疑問だったのだが「元は闇の巨人だったが今は皆を笑顔にする光の巨人となったトリガー」と「元は破滅の花だったが今は普通に皆を笑顔にする花となったルルイエ」と言う繋がりだったのか。
『トリガー』ではケンゴは光の巨人トリガーになってルルイエも普通に咲いて皆を笑顔にする花になったのだが、場合によってはケンゴが闇の巨人トリガーダークに戻ってルルイエの花を使って人類を破滅させる可能性もあったと言う事なのかな。

 

わずか一日でTPUが超古代の花に効果がある除草剤を用意できた事に驚くが、シズマ会長は『ティガ』のギジェラを知っているので実はケンゴが育てていたルルイエの事も警戒していて秘密裏に調べて対策を用意していたのかもしれない。

 

初代GUTS-SELECTの隊服を着て作戦に参加するケンゴとユナ。
違う隊服が並ぶと客演回と言うのが強く出て良い。

 

前回のスフィアメガロゾーアとの戦いではトリガーに比べてデッカーは対応できていないところがあったが今回の戦いではトリガーと同じレベルで戦えるようになっている。

 

ユナが残っていたユザレの力を解放してデッカーを援護するとデッカーはその力を使ってミラクルタイプの超能力でスフィアメガロゾーアからカルミラを助け出す。
ティガとダイナ、トリガーとデッカーは基本タイプとパワータイプはどちらにもあるが、ティガとトリガーがスピードタイプを持っているのに対してダイナとデッカーは超能力タイプを持っている。今回はそのトリガーは持ってないがデッカーは持っている超能力タイプを使ってトリガーが果たしたかったカルミラの救出を成功させる事が出来た。

 

「アンタは闇を否定しなかった。それに言っただろう。たまには温かい光ってのも悪くないってね」。
まさかのカルミラ復活からのデッカー、トリガー、カルミラの3人タッグは予想外であった。でも、自分はかつて敵だった存在と力を合わせて戦う展開が大好きなのでこの共闘は燃えた!

 

カルミラを救おうとするケンゴを見たカナタは「俺はまだ戦いの先に何があるのかも、何をやるべきなのかも、本当の事何も分かんねぇけど、今はこれが俺のやりたい事だぁ!」と叫ぶとカルミラを助け出すのに協力してケンゴの夢の手助けをする。
戦いが終わった後、答えはまだ見付かっていないと言うカナタにケンゴは「答えが見付かるまでこれを預かっていて」と言ってウルトラデュアルソードとトリガーのウルトラディメンションカードを「地球を守る為のもの」として託す。
「俺、いつか必ず自分だけの答えを見付けてケンゴさんに報告します。だから、絶対にまた会いましょう!」。

 

『トリガー』の主人公はケンゴでヒロインはユナなのだが二人に男女の雰囲気は感じない。性別を意識していない友人と言う感じかな。『ティガ』はダイゴとレナの男女としての関係が非常に強かったので『THE FINAL ODYSSEY』でカミーラが出ても正直言って二人の間に割り込むのは難しいところがあったが、『トリガー』ではケンゴの相手がいなかったのでカルミラが帰る場所として残る事が出来たところがある。(でも、ユナがケンゴに抱きついた場面はカルミラに見せない方が良いとは思う)

 

火星に帰るケンゴに便乗してカルミラも地球を離れる。
手には赤と青の光があったのでダーゴンとヒュドラムの魂も復活する可能性がある。
ダーゴンはともかくヒュドラムを復活させて大丈夫なのか心配になるが、ひょっとしたらトリガーダークからマナカ・ケンゴと言う新しい人格が誕生したようにダーゴンとヒュドラムも過去の記憶を持たない新しい人格として生まれ変わるのかもしれない。

 

『トリガー』はポジティブなイメージがある作品だがトリガーを始め巨人達の話は最終的には消えゆく運命があってどこかもの悲しい雰囲気があった。
自分はケンゴの「皆を笑顔にする」を考えたらカルミラ達の救済はアリだと思う。又、『トリガー』が『ティガ』をモチーフにしていながら違う展開を見せるのなら『ティガ』では哀しい結末だったカミーラに対して『トリガー』ではカルミラにハッピーエンドを用意しても良いと思う。