帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「希望の光、赤き星より」

「希望の光、赤き星より」
ウルトラマンデッカー』第7話
2022年8月27日放送(第7話)
脚本 ハヤシナオキ
監督 坂本浩一

 

ウルトラマントリガー
身長 53m
体重 4万4千t
火星で初代GUTS-SELECTと共に人々を守っていた。
アキトが作ったスフィアソルジャーのモンスディメンションカードでスフィアのバリアーを通過して地球に到着する。
ユザレから与えられたウルトラデュアルソードでスフィアメガロゾーアを追いつめるが……。

 

精強宇宙球体スフィアソルジャー
全長 不明
重量 不明
火星で人類を襲うがトリガーと初代GUTS-SELECTに撃退される。
その後、倒された個体をアキトに分析されて地球を覆うバリアーを通過できるスフィアソルジャーのモンスディメンションカードが作られる。

 

邪神スフィアメガロゾーア(第二形態)
身長 66m
体重 6万9千t
かつて世界を闇に閉ざした邪神でスフィアを利用して再生した。
闇の竜巻を起こして都市へと迫る。
トリガーとデッカーによって追いつめられ、トリガーのウルトラデュアルソードで切り裂かれるが……。
『トリガー』の「マイフレンド」「闇の支配者」「笑顔を信じるものたちへ」のメガロゾーアの着ぐるみを改造している。

 

物語
スフィアの襲撃を受けている火星ではトリガーと初代GUTS-SELECTを中心に人類は抵抗を続けていた。
そんな中、謎のユザレからメッセージを受け取ったケンゴはアキトが作ったスフィアソルジャーのモンスディメンションカードを使って地球へ向かう。

 

感想
『Z』『トリガー』に続いての序盤の客演回。
ヒーローの客演回と言えば番外編のイメージがあるが『Z』の「帰ってきた男!」がデビルスプリンターの説明回になっていたり、『トリガー』の「インター・ユニバース」がケンゴがトリガー本人であった事の伏線になっていたりと意外とメインの物語に関わる事が多く、今回も第1話以来の謎であった火星の状況が明らかにされている。
物語における情報と言うのは基本的に主人公周りのものから明らかになっていくので、客演ヒーローを使う事で主人公が知らない情報を出すと言うのは上手いやり方だと思う。

 

今回のケンゴは火星では隠れて変身する事が無かったが火星ではケンゴがトリガーに変身する事は初代GUTS-SELECT以外にも知られるようになったのかな?
今の火星はかなり過酷な状況なので「正体不明の謎の巨人がいつ現れるか分からない」より「GUTS-SELECTの仲間であるウルトラマントリガーが確実に助けに来てくれる」とした方が火星の人々にとっては救いになるのかもしれない。

 

ユザレが再登場するのだが『トリガー』の時と違って近未来的な格好になっている。この謎はもう少し後の話で明らかになる。

 

倒したスフィアを分析してカードにエネルギーを注入する事に成功したアキト。
捕らえた敵キャラを分析してエネルギーを取り出すなんて他の作品(特に『ティガ』『ダイナ』)だとロクな事にならないのに副作用や暴走無しで成功させたアキトは凄い。

 

スフィアソルジャーのモンスディメンションカードを持ってケンゴは地球へ。
火星は初代GUTS-SELECTによって守られる事になるが、ここで初代GUTS-SELECTは『トリガー』のTVシリーズから劇場版までの2年間をトリガー不在でも地球を守ってきたと言う実績が劇中の人物や視聴者を安心させられる説得力を生み出す事となった。

 

地球に旅立つケンゴがタツミ隊長達に「火星を、僕の故郷をお願いします!」と頼むのが良い。この台詞を聞いて初めて気付いたが『トリガー』は「火星出身のケンゴが地球のGUTS-SELECTと協力して地球の人々の笑顔を守る」で『デッカー』の火星は「地球出身のGUTS-SELECTが火星出身のケンゴと協力して火星の人々の笑顔を守る」と言う構図になっていたんだな。

 

ウルトラシリーズの主人公達は戦いが終わったら後は比較的平穏な生活を送っていて後輩が危機に陥ったら助けに行くと言うイメージがあったので今回の荒廃した故郷で戦い続けるケンゴの姿はちょっとした驚きがあった。

 

『ティガ』のダイゴは『THE FINAL ODYSSEY』の後は特殊な設定だった『超ウルトラ8兄弟』を除いて変身は無かったが『トリガー』のケンゴは変身能力を失っていないので続編の『デッカー』でも普通に変身して『ダイナ』では実現しなかった前作主人公と現行主人公のW変身が出来た。

 

ケンゴ役の寺坂頼我さんとカナタ役の松本大輝さんでは松本さんの方が先に生まれているのだが、ケンゴの方が先輩としての貫禄もあって年上に見えるのがドラマの不思議で面白いところ。

 

ムラホシ隊長にとってタツミ隊長はパイロット時代の先輩との事。
そう言えばタツミ隊長が戦闘機を操縦する場面は無かったなぁ。隊長が戦闘機を操縦してウルトラマンを援護するのは盛り上がるポイントなので一度は見てみたかった。

 

「ケンゴはどうやって地球にやって来たのか?」と言うリュウモンの質問にカナタは「バリアーに覆われる直前に地球にたまたまいた」と答えるが「それならどうして火星の状況を知っている?」と追究されてしまう。
ケンゴは火星では正体を特に隠していなかったからか、その辺りの事をすっかり失念していた……。

 

ケンゴとカナタの会話は「カナタが持つカードと同じカードを未来風のユザレが持っていた」「カナタがデッカーと会った時に聞いた声は女性ではなかった」「デッカーは超古代文明とは違うところから来たウルトラマンかもしれない」「ケンゴが別の宇宙のウルトラマンの話をする」と後に明かされるデッカーの正体に関わるものとなっている。

 

カナタに「君は何の為に戦うの?」と尋ね、「考えた事無かったです」と言うカナタの答えに「人それぞれに出来る事は違うんだよ。自分に何が出来るのか、何をしたいのか、いつか自分自身で答えを出さなければいけない時がきっと来る。だから今はまだ焦らないで」と告げるケンゴ。
今のカナタは目の前の戦いで精一杯なのでその後の事までは考えられず、ケンゴの言葉もちょっとちゃんと聞いていない感じであったが、おそらくケンゴは自身の経験からウルトラマンになってしまったカナタが今後経験するであろう問題を今のうちに忠告しておいたのであろう。突然出てきた忠告なのでどうしてこのタイミングでと思うところはあるがおそらくケンゴは自分がずっと地球でカナタと一緒に戦える状況ではないと考えていて今のうちに忠告できる事は言ってしまおうとしたのだろう。

 

10年前の戦いでは仲間である初代GUTS-SELECTと力を合わせたが今は仲間としてカナタ=デッカーがいると告げるケンゴ。
客演回で複数のヒーローを一緒に戦わせる時にその理由付けが必要になるが、今回はトリガー一人では勝てなかったが仲間である初代GUTS-SELECTと一緒に戦えたので勝てた。今回は初代GUTS-SELECTはいないがカナタ=デッカーと一緒に戦えると言う理由付けがされた。(こうして見ると今回の話は「デッカーがトリガーと一緒に戦う」ではなく「トリガーがデッカーと一緒に戦う」と言う構図になっていてトリガーの主役回である事が分かる)

 

トリガーとデッカーが一緒に出る登場シーン。
意外とこのパターンって初めてかな。一人が登場してすぐに二人目が登場はあったと思うけれど。

 

『デッカー』の新アイテムであるウルトラデュアルソードであるがなんと初使用はデッカーではなくてトリガーであった。
詳しい説明が無いいきなり現れた新アイテムであるがトリガーはこれまで多くの武器を扱ってきたので初めての実戦での使用でも完璧に扱えた。