帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「誰がための勇姿」

「誰がための勇姿」
ウルトラマンデッカー』第9話
2022年9月10日放送(第9話)
脚本 皐月彩
監督 坂本浩一

 

宇宙格闘士グレゴール人グレース
身長 180cm~55m
体重 74kg~4万7千t
本人は「宇宙でそこそこ名が知れた格闘家」と言っているが「ヘラクレス座M16惑星から彗星の如く現れた鋼の魔人」「宇宙最強の格闘チャンピオン」と呼ばれていた格闘家。
地球に超古代の光の巨人がいると聞いて有名な戦士と戦えば名前が上がりファイトマネーも稼げるとして来たがスフィアの侵略で地球から出られなくなってしまった。
GUTS-SELECTと真剣勝負をする事になるがスフィアレッドキングの出現を受けて自身の試合よりもデッカーを助ける事を優先した。
度重なる戦いによって体がボロボロになっていたがTPUの医療施設で治療を受けられる事となった。
なんと『ダイナ』当時のマスクとスーツらしい。(マントや剣は他のキャラクターのものを流用している)

 

どくろ怪獣レッドキング
身長 45m
体重 2万t
ナツミシティに出現して暴れた。
首が弱点でGUTS-SELECTとグレースの攻撃を受けると地中に逃げた。

 

どくろ合成獣スフィアレッドキング
身長 45m
体重 2万5千t
逃げたレッドキングがスフィアに融合された状態で出現した。
パワーが増大し、波動を使って距離を取った戦いも出来るようになった。
グレースに押さえられている間にGUTSグリフォンのハイパーソーンレーザーを受けて倒された。
『マックス』の「出現、怪獣島!」「爆撃!5秒前!」「イジゲンセカイ」のレッドキングの着ぐるみを改造している。

 

ディメンションカード怪獣ウインダム
身長 ミクロ~40m
体重 0~2万3千t
街で暴れるレッドキングに向けてカナタが出現させた。
体当たりの一撃でレッドキングを弾き飛ばす。
その後、ハイパーソーンレーザーを受けて爆発するスフィアレッドキングからグレースを引き離して助け出した。

 

ディメンションカード怪獣ミクラス
身長 ミクロ~40m
体重 0~2万t
ハイパーソーンレーザーを受けて爆発するスフィアレッドキングからグレースを引き離して助け出した。

 

ディメンションカード怪獣アギラ
身長 ミクロ~45m
体重 0~1万2千t
ハイパーソーンレーザーを受けて爆発するスフィアレッドキングからグレースを引き離して助け出した。

 

物語
カナタは自分が変身する直前の写真を撮っていた少女ミカと出会う。
ミカはこの事を黙る代わりに父親と戦ってほしいと告げる。
ミカの父親はかつて宇宙最強の格闘チャンピオンと呼ばれたグレゴール人のグレースだった。

 

感想
『ダイナ』の「死闘! ダイナVSダイナ」のオマージュ回。
ミカはカメラ少女のナツミがモデルだが今回は宇宙人の少女となっているので、カナタがウルトラマンである事を知っていて、ウルトラマンではなくグレゴール人を応援するとなっている。(因みにナツミの名前はレッドキングが登場したナツミシティに使われている)

 

グレースの人間態を演じているのは平成ウルトラ三部作でスーツアクターを担当していた中村浩二さん。中村さんは『ガイア』の「魂の激突!」でプロレスラー・マンモス大剛を演じていた。その為か『ダイナ』に登場したグレゴール人はストリートファイター的なところがあったが今回登場したグレースはプロレスラー的なキャラクターになっている。

 

『ガイア』の「魂の激突!」では若手のプロレスラーを演じていた中村さんも四半世紀を経た今回の話では第一線を退いたプロレスラーの役となっている。
因みに「魂の激突!」には当時のトップレスラーであった橋本真也選手がゲスト出演していたが、その橋本選手は2005年に亡くなられ、同じ闘魂三銃士である武藤敬司選手は2023年に引退、蝶野正洋選手も試合から遠ざかると四半世紀の時の流れを感じる。

 

カナタはデッカーに変身しなくてもディメンションカード怪獣を使う事が出来た。
後半ではスフィアレッドキングからグレースを引き離す為にディメンションカード怪獣3体を同時に出す等、使い方に幅が出てきた。

 

専用の登場シーンを出してきたグレース。剣を使った演出が格好良かった。
死闘! ダイナVSダイナ」では強さを見せつける戦い方が否定されていたが今回はプロレスラーなのでアピールが大事と真逆になっているのが面白い。

 

街を守る為に変身して戦ったグレース。
ウルトラシリーズにはウルトラマン以外にも良い宇宙人はいるのだが今回のように「大勢の人が見ている前で地球の為に戦って皆に賞賛された巨大宇宙人」と言うシチュエーションは意外と少ない。

 

宇宙人にしろ怪獣にしろ二足歩行の敵と戦う事が多いGUTS-SELECTにとって巨人であるグレースが訓練の相手になってくれるのはありがたいとしてGUTS-SELECTとグレースの戦いに繋げたのが上手かった。
プロレスラー的な描かれ方がされていたのにグレースが武器や戦闘機を使った複数の人間を相手に戦うのはちょっと違和感を覚えたがプロレスにはハンディキャップマッチがあるので今回はそういう形式と思って見る事にした。

 

ムラホシ隊長の特技が料理である事が判明。
こういう家庭的な隊長はこれまでにいなくて新鮮だった。

 

ムラホシ隊長にGUTS-SELECTの役割を問われたカナタは「それは……宇宙と地球の平和の為に戦って……」とちょっとあやふやな返答をする。それを聞いたムラホシ隊長は「その通りです。ですが私は思うんです。グレースさん達が願うような小さな幸せを守る事も我々の大事な責務なんだって」と語る。
前回のケンゴとの会話でも垣間見えたがカナタは戦いの先に何があるのかについて具体的なイメージがまだ出来ていないところがあって、様々な事件を経てそれらについて考えていく事になる。

 

スフィアレッドキングは体色が変わった事でスフィアに寄生されて変異したと言うのが分かりやすくなって良い。

 

ダイナは一度の戦いでストロングタイプとミラクルタイプの両方にタイプチェンジする事は出来ないとなっていたがデッカーにはそれが無くて今回の話ではフラッシュタイプからストロングタイプを経てミラクルタイプに変身している。

 

スフィアレッドキングを撃退した事でハイパーソーンレーザーの有効性を確信したアサカゲ博士は開発中の新兵器DG001への応用を決断する。

 

体を悪化させて倒れたグレースはTPUの医療施設への入院が決まる。
他の作品と違ってTPUには既に多くの宇宙人達がいるので宇宙人であるグレースの治療もスムーズに決定した。
『デッカー』は今回のグレースに「湖の食いしん坊」のユウコと地球で暮らしていかなくてはいけなくなった宇宙人が出ている。『タイガ』にも地球で暮らしている宇宙人が登場したが『タイガ』の地球では宇宙人を受け入れる環境がまだ整っていないので様々な問題が起きた。それに対して『デッカー』はTPUが10年以上にわたって宇宙人を招いてきた事で事情が理解されればちゃんと平和的な解決に至るとなった。違う地球ではあるがかつてあった問題が段々と解決されていくのを見る事が出来るのは長期シリーズの面白さだと思う。