帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「侵略のオーロラ」

「侵略のオーロラ」
ウルトラマンブレーザー』第6話
2023年8月19日放送(第6話)
脚本 継田淳
監督 辻本貴則

 

オーロラ怪人カナン星人
身長 180cm
体重 62kg
繰り返される戦争で母星が滅んだので地球を手に入れようとした。
全ての機械に感情が宿っていると考えていて、オーロラ光線で機械の負の感情を呼び覚まして操る。
地球侵略の為にSKaRDを調査し、アースガロンを手に入れてヤスノブ隊員を仲間にしようと勧誘するが、ヤスノブ隊員にアースガロンを正気に戻され、作戦が失敗したので風力発電所に偽装した宇宙船で逃げようとしたがブレーザーのスパイラルバレードで倒された。

 

物語
仕事を引き受けすぎたヤスノブ隊員は過労になってしまう。
近所のコインランドリーの洗濯機「クルル」に仕事のぼやきを話すヤスノブ隊員。そこにやって来たのは……。

 

感想
仕事熱心なあまりに無理をしすぎてしまったヤスノブ隊員。
それを知ったテルアキ副隊長は「そういうところは隊長が先回りしてフォローしないと」と注意し、実家から届いたトマトを渡すと言う名目を用意してゲント隊長がヤスノブ隊員と話し合うきっかけを作る。
こういうフォローが出来るところを見るとテルアキ副隊長は隊長の適性があると思う。多くの副隊長は隊長不在になると決断力に欠けているところを見せるがテルアキ副隊長にはそういうところも見られないし。

 

コインランドリーの洗濯機に「クルル」と言う名前を付けて話しかけていたヤスノブ隊員。『トリガー』のヒマリもGUTSファルコンや人工衛星ソウルをちゃん付け君付けしていたが、さすがに今回のヤスノブ隊員のような会話まではしていなかった。

 

カナン星の定義では全ての機械に感情が宿っているとの事。
車や乾燥機に人間と同じような感情があると言うのは驚きで、これまでのウルトラシリーズにはあまり無かった話ではあるが、「高い能力があるのに人間にこき使われる事で機械が負の感情を抱く」と言うのは実は『セブン』の「第四惑星の悪夢」に通じるところがある。

 

『セブン』の「蒸発都市」で「ビル街が心を持ったら蒸発したくなる」と言う話があった。正直言うとこの話を見た時は「『セブン』だから事件の原因は宇宙人でしょ」と思ったし実際そうだったのだが、まさかその55年後に「宇宙人の侵略計画」でありながら「物が心を持つ」と言う話が出てくるとは思わなかった。

 

街のコインランドリーに宇宙人のカナン星人がいると言う日常の中に非日常が入り込む場面。
『セブン』の「円盤が来た」等では宇宙人と言う非日常が入り込む事で日常の平穏が揺らいで不穏な雰囲気が出来ていたのだがニュージェネレーションシリーズでは人間と同じように日常を送っている事で非日常の存在である宇宙人に親しみを感じられると真逆の効果が生まれている。

 

コインランドリーでのやりとりは間が絶妙で実に面白かった。
ヤスノブ隊員の筋肉にビックリ! ヤスノブ隊員はあの筋肉があるのなら銃を使わないで直接殴った方がカナン星人に勝てたと思う。(坂本監督ならやっていたかもしれない)
田口監督の意外と長い出演場面に思わずフフッとなるw

 

『Z』で特空機が登場してから再登場が期待されていたカナン星人が遂に登場!
今回の話を見て分かったが、アースガロンはブレーザーを除くと現在の地球で最強の戦力なので、アースガロンが敵になると人類はかなりの危機に陥ってしまう。(カナン星人の考えではヤスノブ隊員の協力があって性能が100%発揮されるので今回のアースガロンはまだ性能を完全に引き出していない状態だったりする)

 

機会の心が分かる感じのカナン星人であったが言動を注意深く見ていくと結局は機械を道具扱いしている事が分かる。感情がある存在と分かっていながら道具扱いを止めないところに母星が滅んだ原因があったように思える。

 

『セブン』以来の再登場となったカナン星人はオリジナルのキャラクターを令和風に上手くアレンジしていたと思う。
故郷の星が滅びたと言う設定がありながら同情できない感じに仕上げてちゃんと倒す事が出来るキャラクターになっているのはヒーロー作品として上手いバランスであった。その上で竹内絢子さんのショタっぽい声で子供っぽさを出して憎めないキャラになっていたのが面白かった。

 

スパイラルバレードを投擲する時にブレーザーの体が捻れすぎて驚いた。
こういう描写が出来るのはブレーザーが宇宙警備隊等とは無縁の存在だからなのかな。セブンやゼロでこれをやったらさすがに違和感が大きそう。

 

機械に名前を付けて人格があるように接していたヤスノブ隊員だったが自分を助けたアースガロンに人格があるかどうかについては最初はちょっと否定的であった。
今回の話の冒頭でヤスノブ隊員は他の隊員からのお願いを断れないところが描かれていたが、ひょっとしたら人格がある人間相手だと断ったりする事が出来ないので、洗濯機のような人格が無い機械を相手にぼやきを言ってストレスを解消していたのかもしれない。そう考えるとカナン星人が「ぼやきを聞かされる機械はストレスを感じる」と言ったのも理解できる。それに気付いたヤスノブ隊員はクルルを人格のある存在としてお願いをする事になるのだった。