帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

『ウルトラスーパーファイト』

『ウルトラスーパーファイト
1994年4月21日発売
監督 満留浩昌・中崎一嘉・藤井恭

 

オリジナルビデオとして発売された『平成ウルトラファイト』と言うべき作品。

 

ウルトラマン大ピンチ!!」
街を舞台に巨大化したウルトラマンとバルタン星人が戦い、最後はウルトラマンが勝利を収めると言う内容。
至って真面目な普通の戦いで『ウルトラファイト』の焼き抜き編を思わせる感じになっている。(ナレーションが無いけれど)

 

 

「ウルトラ悲話エースの初恋」
リボンを付けた女アストロモンスを巡ってエレキングベムスターが対決!
止めに入るウルトラマンエースだが結局は両者を倒す事になり、戦いが終わった後、ウルトラマンエースとアストロモンスは手を繋いで去って行った。
怪獣の恋愛話と言うのが『ウルトラファイト』らしいがBGM等の関係でほのぼの感が無く全体的に寂しい雰囲気になってしまっているのが残念。と思ったら……。

 

 

「ケムール! 交通道徳を守れ」
タバコを吹かして運転するケムール人はウルトラマンの検問も強引に突破し、あまつさえウルトラマンの顔面に液をかけてしまう!
怒ったウルトラマンは先回りしてケムール人を捻じ伏せて違反切符を切るのだった!
「交通道徳は守ろうね」と言うお話。

 

 

「ウルトラ悲話エースよ泣くな」
まさかの「エースの初恋」の続編!
「あれから一年経ちました……。私達は当てもなく逃げ回っていました……。怪獣どもは裏切り者のアストロモンスを決して許そうとはしませんでした……。2人はしつこく追いかけられて、もう満足に歩けないほど疲れていました……。アストロモンスは言いました……。「私……、もう駄目……。あなただけでも逃げてちょうだい……」」。
ウルトラマンエースの語りが泣ける。前作をほのぼのにしなかったのはこういう事ね。真面目にすればするほど笑える。
今度はエレキングベムスターにゴドラ星人も加わる! 絶望的な戦いに挑むウルトラマンエース! 連れ去られたアストロモンスの運命は!?
まるでヤクザの女に手を出した男の話だ。

 

 

「悪夢!? マン対セブンの決闘? ー紅い悪魔 妄想ウルトラセブン登場ー
いきなりウルトラセブンに倒されるウルトラマンエースと言う驚きの始まり。ウルトラマンエースは前回に続いて災難続きだ……。
ウルトラマンエースを倒したウルトラセブンの正体はウルトラマン達に倒された怪獣達の邪念が復活させた妄想ウルトラセブンであった。
鉄の棒を使ってウルトラマンを追い詰める妄想ウルトラセブン
ウルトラマンは二刀流で逆転してウルトラかすみ切りで見事勝利を収めるのであった。
ウルトラ史上最もウルトラマンが泥まみれになった戦いと言えるかも。

 

 

「アストラ! お前が悪いのだ」
ケムール人を怪我させたアストラはウルトラマンレオに叱られるが、ウルトラマンレオがいなくなると再びケムール人に怒りをぶつけてしまう!
ただ叱るだけでは駄目で、ちゃんと反省しなければいけないと言う話だが、アストラが終始ケムール人を虐めるだけと言うのは見ていて気分が良いものではない。
この話からウルトラマンや怪獣達の声がなんだかマヌケっぽくなる。

 

 

「鎖の思い出」
ある暑い夏の日。鎖を身に付けたペガッサ星人が力無く歩いていた。
実はペガッサ星人はメトロン星人を鎖でいたぶっていたのだが鎖を奪われて……。
回想シーンが終わると共に力尽きるペガッサ星人。
えっ!? これで終わり?

 

 

「タロウ怪獣退治に行く!!」
おじいさんのウルトラマンレオおばあさんのアストラに見送られて鬼退治に向かったウルトラマンタロウは旅の途中で襲い掛かってきたベムスターと今までの罪を悔い改めようとしているゴドラ星人を仲間にする。
遂に鬼の住処に辿り着いた一行だったが、そこに鬼はいなかった。するとウルトラマンタロウベムスターとゴドラ星人を襲い始め……。
悪役がいなけりゃヒーローは存在できない。
と言うわけでヒーローを存在させる為に悪役を仕立てると言うなんとも恐い話。
「私に刃向かう者は倒す! 私は正義の味方ウルトラマンタロウだ!」。
ウルトラマントレギアが「宇宙の番人を気取るな! 光が正義だと誰が決めた!」と激怒しそうだ。

 

 

「恐怖の背後霊怪獣」
怪しい土地をパトロールするウルトラセブン。そこに現れたケムール人は奇怪な踊りでウルトラセブンに目眩をさせ、さらに忍法でウルトラセブンの背中にゼットンの幽霊を貼り付けてしまう。
しかし、ウルトラセブンチャンバラトリオ直伝のハリセンパンチで見事ケムール人を倒すとゼットンを背負ったまま賽の河原を歩いていくのであった……。
て、賽の河原を歩いちゃ駄目だぞウルトラセブン
今回はホラーの演出が冴えていた。特に賽の河原に無数に立っている赤い旗が恐かった。

 

 

「さすらいのウルトラマンタロウ
ペガッサ星人がパンドン(改造)に虐められていると、そこに「俺は弱い者虐めが饅頭の次に大っ嫌いなんだ!」とギターを弾きつつ渡り鳥が、いやズバットが、いやウルトラマンタロウが現れる!
ウルトラマンタロウの援護でパンドン(改造)を倒したペガッサ星人だったが何故か今度はウルトラマンタロウを襲いかかる。
ペガッサ星人「昔、酷い目に遭わされて住む家が無くなっちまったんだよ、セブンさんよ!」。
ウルトラセブンウルトラマンタロウが似ていると言う設定を使ったのが面白い。
それにしても、まさか『ウルトラセブン』の「ダーク・ゾーン」のエピソードを使ってくるとは思わなかった。

 

 

「セブン! 心の目を開け!!」
ゼットンの急襲を受けて目を負傷してしまったウルトラセブン
思うように相手が見えない中、果たしてウルトラセブンは勝つ事が出来るのか?
今回は心眼の話。心眼と言えばモロボシ・ダンがレギュラーだった『ウルトラマンレオ』の「くらやみ殺法! 闘魂の一撃」を思い出す。

 

 

「怪獣の誕生日」
今日はパンドン(改造)の誕生日だが、独りぼっちのパンドン(改造)は楽しそうなアストロモンスを見ていじけてしまう。
そこに仲良しのウルトラマンエースがプレゼントを持ってきた。
喜ぶパンドン(改造)が箱を開けると中身は……「レオでした」
どうやって、あの小さい箱の中に入っていたんだ?

 

 

「荒野の卑怯者」
バケツを持ったウルトラマンにぶつかったケムール人が因縁をつけてきて戦いが始まる!
なんだか『トムとジェリー』みたいな掛け合いをする二人が楽しい。BGMが『ウルトラファイト』なのも嬉しい。
ウルトラマンがピストルの弾くらいで死ぬと思ったか!」。
ごもっとも。

 

 

「怪獣達の戦い」
ある河原でメトロン星人がタバコを吹かしていると、そこにパンドンなんと改造前!)が現れ、自分もタバコが欲しいと言い出す。
怒るメトロン星人
畳にちゃぶ台にあぐら。さらにBGMは『ウルトラセブン』の「狙われた街」で使われたもの。
俺が主役だ!とばかりに頑張るメトロン星人だったが結局は負けてしまいましたとさ、チャンチャン♪

 

 

「怪獣の師弟愛」
平和な春の午後3時。親分のペガッサ星人と子分のウーがいた。
ウルトラマンタロウが来た事を知ったペガッサ星人はウーに腕試しで戦って来いと命令する。恐いウーは戦わずに帰るとウルトラマンタロウをコテンパンに倒したと嘘の報告をするがペガッサ星人に見破られて再び挑戦する事になる。
結局は二人ともウルトラマンタロウに倒されてしまうが、最後に二人はお互いの名を呼びながら必死に近付いて行く。再び手を合わせる事無く息絶えた二人だったが、一部始終を見ていたウルトラマンタロウはそっと二人の手を合わせるのであった……。
よく見るラストシーンだが、これって一番最初の元ネタはどこなんだろう?

 

 

全体的に手作り感満載だったが色々と工夫がされていてシュールで面白い映像もいくつかあった。
ただ残念なのはほのぼの系のお話。島田敏さんが担当しているウルトラマンや怪獣達の声がちょっと間抜けすぎた。
ウルトラファイト』が最初からおかしな事をするつもりは無かったが結果的におかしな感じになっていったの対し、本作は最初からお笑いや不条理な感じにしようとしているところがあって、作品の作りは似ていても雰囲気は大分違っていた。あと、『ウルトラファイト』とは作られた時代が違うので笑いに対する感覚も違ってしまったのかなと感じるところがあった。