帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「サ・ヨ・ナ・ラ地球」

「サ・ヨ・ナ・ラ地球」
ウルトラマンティガ』第4話
1996年9月28日放送(第4話)
脚本 宮沢秀則
監督 村石宏實
特技監督 神澤信一

 

複合怪獣リガトロン
身長 65m
体重 7万7千t
木星の衛星軌道上に現れた感情も実体も持たない未知のエネルギー体が動力エネルギーを求めて木星探査船ジュピター3号と乗組員を取り込み、乗組員の恐怖の感情を探り出して作り上げた怪獣。
次のエネルギーを求めて地球にやって来ると宇宙開発局の高純度エネルギーや鶴ヶ崎発電所を襲った。
怪獣は乗組員の知識や能力を使って宇宙開発局のセキュリティシステムを解除する事が出来るが乗組員のピュアな家族や肉親への慕情のようなものは理解する事が出来ず、ジュピター3号のコンピューターに送信された家族の写真を見て覚醒した乗組員の意識が怪獣が蓄えていたエネルギーを奪って光となって怪獣から離脱すると、抜け殻となった怪獣はティガ・マルチタイプのゼペリオン光線で倒された。
目の発光で爆発を起こし、両手のカマを合わせて光線を撃ち、ジェット噴射で空を飛ぶ。ティガ・パワータイプの攻撃も跳ね返してレナに「難攻不落の要塞」と言わしめた。

 

物語
木星探査船ジュピター3号が行方不明になってから数ヶ月、宇宙開発局のセキュリティシステムを解除して高純度エネルギーを奪う怪獣が現れた。
宇宙開発局のセキュリティシステムを解除できるのは開発者でジュピター3号と共に行方不明になっている江崎博士だけなのだが……。

 

感想
「宇宙飛行士が怪獣になる」と言えば『初代マン』の「故郷は地球」に登場したジャミラを思い出す。リガトロンを倒すよう命令が下される場面は「故郷は地球」に通じるものがあるが話全体は『パワード』の「宇宙からの帰還」の方が近いかな。

 

リガトロンの謎を解く為に宇宙開発局はジュピター3号の乗組員の家族に接触する。元はアストロノーツで今まで多くの仲間を失ってきたシンジョウは宇宙開発局の行為に怒りを露わにするが、イルマ隊長にお互いの領分を踏み越える事は出来ないと注意されてしまう。
前回の「悪魔の預言」ではGUTSに協力した宇宙開発局だがGUTSの知らない所で色々と動いていたりする。

 

ガッツウイングに同乗するダイゴとシンジョウはリガトロンの攻撃を受けて墜落してしまう。
これが後に「墜落コンビ」と呼ばれる二人の記念すべき(?)初墜落であった。

 

今回は物静かなダイゴと熱血で人情味溢れるシンジョウの対比が印象に残った。
あまり感情を表に出さないダイゴは『初代マン』のハヤタ隊員に近いタイプの主人公なのかもしれない。

 

今回からダイゴの変身ポーズが登場。腕を回転させたりと意外と動いている。
又、拳を突き上げて巨大化していくティガの登場シーンも今回から使われている。

 

今回の特撮では多くのセットが組まれ、さらに電線や車や鳥居と色々な物が細かくある。冒頭のリガトロン出現シーンでは海岸のセットまで組まれている。

 

行方不明になったジュピター3号の乗組員が家族のもとに現れたのは家族への想いがあったから。ジュピター3号の乗組員と家族との触れ合いやクライマックスで映し出された家族との写真は感動的であった。
この「想いが奇跡を呼ぶ」展開は平成ウルトラシリーズの一つの基本となっていく。

 

リガトロンから分離した3つの光を見送ってダイゴはリガトロンに取り込まれた3人が人間を超えた光の生命体になったと語る。
この「怪獣と融合した事で人間を超えた存在になった」と言う展開は『G』の「魅入られた少年」でもあった。昭和のウルトラシリーズではウルトラマンや宇宙人や宇宙怪獣は出身は違っていても地球人と同じ生物であると言う描かれ方が多かったが、平成ウルトラシリーズに入ると「人間を超えた存在=光」と言う概念が入ってくるようになった。

 

光となった3人はどこに行くのかと言うホリイの呟きへのシンジョウの答え。
「そらさ……。彼らの目指すものは無限に広がる宇宙なんだよ……」。
因みにオープニング映像のGUTS集合の場面は今回の話から採られたものである。

 

今回の話は『G』で原案を担当していた宮沢秀則さんのウルトラシリーズ脚本デビュー作となっている。