帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「二千匹の襲撃」

「二千匹の襲撃 ーギアクーダ登場ー
ウルトラマンダイナ』第9話
1997年11月1日放送(第9話)
脚本 長谷川圭一
監督 石井てるよし
特技監督 佐川和夫

 

吸電怪獣ギアクーダ
身長 220cm~67m
体重 200kg~5万6千t
どこかの遺跡の地下から現れた光が実体化した怪獣。
プラズマで電気機器を狂わせる。胸から赤い光線を出し、全身から赤い電流を放射する。
電気を求めて太陽発電基地を襲うが、ダイナ・ストロングタイプに空中に投げられてガッツイーグルのトルネードサンダーで倒される。しかし、バラバラになった破片一つ一つが再生して二千匹もの小型怪獣になると電気関係を襲って都市機能を麻痺させ街を制圧してしまった。
スーパーGUTSとダイナの誘き寄せ作戦でトラップフィールドに集められて再び一つの大型怪獣に戻るとダイナに何かを頼み、最後はダイナ・ミラクルタイプに宇宙に連れられてレボリウムウェーブ・アタックバージョンでバラバラにされ、そのまま時空衝撃波で作り出されたミニ・ブラックホールに投げ込まれた。
アスカは人間に何か大切な事を忘れさせない為に地球の意思が送り込んだのではないかと考えるが真相は不明。

 

物語
突如現れた怪獣ギアクーダを倒したスーパーGUTSは戦勝に喜ぶ。
しかし、街のあちこちにギアクーダの分身体が現れ、電気を吸収して街を暗闇にしてしまう。
スーパーGUTSはギアクーダを倒す秘策を用意するが……。

 

感想
今回は人間ドラマではなく、ギアクーダの能力とそれに対抗するスーパーGUTSの作戦に焦点が当てられている。
冒頭の戦いではマシントラブルを起こしたガッツイーグルα号の救出とα、β、γ三機のガッツイーグルを合体させる事で使用できる最強の必殺武器トルネードサンダーでガッツイーグルの合体機能が使われ、中盤では分身体ギアクーダを屋根に乗せてのカーアクションがあり、後半はTPC陸戦部隊によるナパーム攻撃が行われる等、三回の戦いが全て違う描き方だったのが面白かった。

 

今回はダイナの三つのタイプが全て登場した初めての話となっている。
劇中では語られていないが、ティガと違ってダイナはストロングタイプやミラクルタイプにタイプチェンジすると、その戦いでは他のタイプにチェンジする事は出来ないとなっているらしい。(フラッシュタイプに戻る事は可能)

 

バラバラになった破片から再生する怪獣は過去にもいたが今回はバラバラになった破片から怪獣の姿になる過程がCGを使ってキチンと描かれた。

 

分身体ギアクーダへの対策で下手な議論よりまず攻撃をと述べ、ナパームで焼き払ってはどうかと意見するゴンドウ参謀。強引なところはあるが、この人は一応は人々の事を考えて動いている。
だが、ゴンドウ参謀のやり方は下手すれば人々にも被害が出る恐れがあるのでミヤタ参謀のようなブレーキ役がいないと大変な事になってしまう。こうして見るとTPCの三幹部はバランス良く配置されている事が分かる。

 

戦いの途中、ギアクーダはダイナにしがみつき、何かを察したダイナによって宇宙空間に連れられていく。「もう疲れた……」とでも言ったのだろうか? この展開はちょっと唐突で戸惑った。
それにしても、そんなギアクーダをバラバラにしてミニ・ブラックホールに投げ込むって……。もう少し優しい方法は無かったのかな……?
ダイナが時空衝撃波でミニ・ブラックホールを作ったのはナレーションの説明だけで実際の映像は無く、こちらもかなり唐突で戸惑う展開であった。

 

アスカはギアクーダが現れた理由を「人間に何か大切な事を忘れさせない為に地球の意思が送り込んだのでは?」と考える。その「大切な事」とは「人工の光に満ちた街の中でだけ生きるようになった人間に闇を思い出させる事」。
確かにギアクーダによって街は闇に包まれたが話の焦点は闇に包まれた街よりギアクーダをいかにして倒すかだったのでこの結論はとってつけた感じがする。晴れの予報が外れて雷が落ちてスーパーGUTSの作戦が失敗したので、地球の意思がギアクーダの背後にあった事は分からなくもないが別に無くても話に支障は無かったと思う。
「地球の闇を恐れなくなった人間はいつか宇宙の闇も恐れなくなってしまうのでは」とアスカが考えるが、アスカがそれを気にするのもちょっと違和感を覚える。ダイゴだと違和感が少なかったかもしれないが。
最後にヒビキ隊長が「それでも人間は前に進むしかねぇんだよ。大切なものを忘れたり思い出したりしながら「未来」と言う名の光を求めて前に進むんだ」と語っていて、これは『ダイナ』の基本テーマとなるのだが、これを結論にもってくるのなら、もう少し物語に絡ませてほしかったところ。

 

冒頭のギアクーダとの戦いの後、戦勝に喜ぶスーパーGUTSはただ一人脱出したアスカを楽しそうにからかう。やはり「目覚めよアスカ」で新人のアスカに負けたのが悔しかった?

 

分身体ギアクーダに襲われるガードマン。『ダイナ』でガードマンは災難続きだ。

 

最後のギアクーダとダイナの戦いで挿入歌が流れるのはヒーロー作品らしい演出で盛り上がる。

 

電気人間になったアスカのオチはお約束だが『ダイナ』らしくて面白い。

 

墜落するα号を合体機能で救出するので『セブン』の「宇宙囚人303」を、バラバラになった破片から再生する怪獣や自らを避雷針とするダイナで『80』の「恐怖のガスパニック」を思い出した。