帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「怪獣の身代金」

「怪獣の身代金 ー古代怪獣アルゴナ登場ー
ウルトラマンガイア』第35話
1999年5月8日放送(第35話)
脚本 太田愛
監督 市野龍一
特技監督 佐川和夫

 

古代怪獣アルゴナ
身長 51m
体重 4万5千t
南極の氷の下から卵の状態で発見された。卵のまま巨大化して成体となって誕生する。実は爬虫類と哺乳類を繋ぐミッシングリングであり、卵と言っても外側を覆っているのはむしろ保護膜に近い。
G.U.A.R.Dの輸送機で日本に運ばれ、事故でフルータ星人?の手に渡ってしまう。仮死状態だったが日本に運ばれてきた事で暖かさで目を覚ました。
獰猛な肉食怪獣で人間が餌との事。
ガイア・スプリームヴァージョンのガイアブリザードで凍らされると最後は再び南極の氷の下で眠りに就く事になった。
滅亡の化石」のゲシェンクの着ぐるみを改造している。

 

物語
南極の氷の下から発見された古代怪獣アルゴナの卵を乗せた輸送機が事故を起こしてしまった。
その頃、全く無関係な古田鉄工所では……。

 

感想
全体的にシリアスな雰囲気がある『ガイア』で「ここまでやれるのか!?」と驚かされたギャグ編。これこそバラエティ編の真骨頂と言える。因みにこの次の話がアグル藤宮の再登場だったりする。ギャップが凄い……。

 

『初代マン』の「空の贈り物」のようにウルトラシリーズは昔からギャグ編が作られる事がある。特に『帰マン』や『レオ』や『ガイア』と言った普段はシリアスが強めの作品ほどはっちゃけて凄いギャグ編になる事が多い。
自分は平成仮面ライダーシリーズの夏のギャグ回も好きだったので、各作品一回はギャグ全開の話をしても良いかなと思っている。

 

ジョジーにデタラメなことわざを教えていた事がバレるアッコ。マジなのかジョークなのか……。
上から落ちてくる牛の絵を手でどかす梶尾リーダーと不思議な展開に驚く我夢が面白い。この辺りは完全にギャグ作品の演出となっている。
ところで梶尾リーダーとアッコが任務以外で話したのって「迷宮のリリア」と今回ぐらいな気がする。

 

怪獣の身代金を企てる古田鉄工所の人達。長いウルトラシリーズの歴史でもこんな事を考えるのは後にも先にもこの人達しかいないだろう。と言うわけで『ガイア』唯一?の宇宙人フルータ星人が誕生する事となる。

 

フルータ星人からKCBに送られた脅迫状の中身は『テレビマガジン特別編集 ウルトラマンガイア』に収録されている。
とても人間が書いたとは思えない字の汚さで、真面目に分析してしまったG.U.A.R.D宇宙語研究所の資料が笑える。

 

石室「これは民間の報道が関与したデリケートな事件だ。一応、パートナーを用意してある」。
いやいやいや! 何も志摩隊員をパートナーにしなくても……。て言うか、デリケートな事件なら余計に駄目な人選なんじゃ……。

 

フルータ星人が身代金を日本通貨ではなく金の延べ棒にしたのは足が付かないようにする為と思いきや古田鉄工所で金の延べ棒を溶かして金貨を作って諸外国に売りさばくと言う計画だった。
……いやいやいや、どうやって金貨を作るんだ? そしてどうやって金貨を売りさばくんだ? て言うか、余計な手間が増えているだけじゃないのか?
ところが我夢達は伝導率が良くて高度な精密機器を作るのに金が適している事からフルータ星人の目的は宇宙船の部品を作る事だと考えてしまう。

 

卵は暖めた方が良いとしてストーブにコタツに湯たんぽにと暖めまくった古田鉄工所の人達。アンタら孵すつもりなのか?
どんどん大きくなった卵に恐れをなした古田鉄工所の人達はG.U.A.R.Dが何とかしてくれるだろうとして卵を置いて逃げようとするが、足を挫いていたタバコ屋のお春ばあさんが逃げられない事に気付いて卵を持って未開の奥地へ逃げる事にする。
こういうどこか間の抜けた憎めない悪人(と言うかおバカ?)は平成ウルトラシリーズでは少なくて貴重。ただ、ギャグ編として見ている分には面白いのだが、大局を考えずに自分達の都合だけで場当たり的に動く彼らの姿って実は藤宮が訴えていた地球環境破壊を省みる事が出来ない人類の姿そのものとも言える。

 

アルゴナに追われる志摩隊員達をファイターEXで助ける我夢。そして我夢だけじゃ頼りないなと梶尾リーダーが颯爽と現れるが、ちょっと油断した隙にアルゴナに捕らえられて餌にされる危機に……!
実は梶尾リーダーは今まで殆ど撃墜されていなくて今回が初めての絶体絶命の危機だったりする。ギャグ編は意外と最大の危機が訪れる事があるので油断は禁物である。

 

『テレビマガジン特別編集 ウルトラマンガイア』に太田さんが書き下ろした小説『アルゴナのやって来た日』が掲載されている。今回の話の前日談になっていて、今回の話に登場したキャラクターだけでなく登場していないキャラクター達のエピソードも書かれている。

 

今回の話は「そらから降ってきた怪獣の卵を巡って人々が勝手に思い込んでは右往左往する」と言う展開になっている。
「そらから降ってきた怪獣の卵」を「ワームホールから現れた怪獣」と考えると今回の話はいつもの『ガイア』をセルフパロディしたものと言える事も出来る。

 

今回の話は市野龍一さんのウルトラシリーズ監督デビュー作となっている。