帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「未来怪獣」

「未来怪獣 ーアラドス ノワール星人 ラグストーン(メカレーター)登場ー
ウルトラマンコスモス』第53話
2002年7月27日放送(第51話)
脚本 荒木憲一
監督 石井てるよし
特技監督 佐川和夫

 

未来怪獣アラドス
身長 幼獣・210cm 成獣・41m
体重 幼獣・200kg 成獣・6万2千t
進化の過程で時間を超越する能力を身に付けた地球怪獣で5000年先の未来から時間を超えてやって来た。
時間旅行の途中で仲間とはぐれて現代に迷い込み、地球の環境が激変していた為に衰弱してしまう。SRCに保護されて精密検査と治療を受けるが回復の兆しは見られなかった。
ノワール星人に狙われるが最後の力を振り絞ってラグストーン・メカレーターを別の時空間に転送してコスモスの危機を救う。その後、力尽きてしまうが未来から来た仲間達が発した緑の光を受けると復活して元の時空間に帰っていった。
当初は「タイムパラドックス」から「パラドス」と言う名前の予定だったが商標登録の関係で脚本の荒木さんの名前を組み込んだ「アラドス」に変更された。
ドイガキ隊員に命名されたが最初の調査時にモニター画面に「ARADOS」と表示されていたりする。
深海の死闘」のジェルガの着ぐるみを改造している。

 

怪獣狩人ノワール星人
身長 185cm
体重 78kg
アラドスの能力に興味を持ち、自分達のテクノロジーならアラドスを救えるとして、地球から手を引く事を条件にアラドスの引き渡しを求めてきた。
拒否されると宇宙船とラグストーン・メカレーターを使って強引に奪おうとしたが、アラドスにラグストーン・メカレーターを別の時空間に転送され、自身はエクリプスモードのエクリプスブレードで宇宙船ごと倒された。

 

ラグストーン・メカレーター
身長 56m
体重 7万5千t
アラドスを奪う為にノワール星人が送り込んだ。
タックル攻撃で相手を吹き飛ばし、肩から光弾を発する。
ノワール星人の宇宙船との同時攻撃でコスモスを追い詰めるがアラドスに別の時空間に転送された。

 

物語
時を超越した怪獣アラドスが出現。
アラドスを巡って防衛軍とノワール星人が対立する中、ムサシは純粋にアラドスに生きてほしいと願う。

 

感想
当時流行った『マトリックス』を思わせる時間描写が印象に残る話。
普通の人間はアラドスが停止させた時間を感じる事は出来ないがムサシだけは何か引っかかるものを感じられるらしい。救世主……じゃなくてウルトラマンの能力なのかな?

 

ヒウラキャップがコック姿で登場。
異様な匂いを発する栄養食を調合してアラドスに食べさせる。
翌朝、アラドスの容態が急変して栄養食にも口を付けなくなってしまうが、まさか栄養食が原因で容態が悪化したわけじゃないよね……?

 

アラドスの存在によって5000年後の地球でも怪獣は滅んでいなかった事が証明され、ヒウラキャップはEYESの怪獣保護が無駄ではなかったと喜ぶ。
前回の「変身不能!?」で目指すべき地球の未来として怪獣との共存共栄を実現させたコイシス星が登場し、今回の話でアラドスの存在によって未来の地球でも怪獣は滅んでいない事が証明された。
『コスモス』の世界はより良い未来に向かっていくのかなと思わせる流れであるが、5000年後の地球の環境は現代とはかなり変わっているようなので、実は人間が滅んで怪獣だけの星になっている可能性もあったりする。

 

アラドスの能力に興味を持ったノワール星人は自分達のテクノロジーならアラドスを救えるとして地球から手を引く事を条件にアラドスの引き渡しを求めてくるがEYESも防衛軍も信用できないとして引き渡しを拒否する。
確かにノワール星人に時空間を操作できる能力を与えたら約束を反故にして侵略してきそうだ。

 

地球が怪獣を資源として利用し続ければ、やがてノワール星のように怪獣が滅んだ星になってしまう可能性がある。
地球の未来は怪獣との共存共栄を果たしたコイシス星か、それとも怪獣を滅ぼしてしまったノワール星か。答えを知っているアラドスは何も語らなかった。

 

防衛軍はノワール星人との交渉を拒否して、アラドスを死後に解剖して時空間を操作する能力を解明しようと考えるが、それを知ったムサシはアラドスよりアラドスの能力が大事なのかと不快感をあらわにする。
でも、防衛軍がアラドスに対してしようとした事は「カオスの敵」でEYESがマザルガスに対してしようとした事と同じだったりする。

 

アラドスが助かる可能性があるだけ防衛軍よりノワール星人に引き渡した方がまだマシだと叫ぶムサシはらしいと言えばらしいがやはり若い。
話を聞いたヒウラキャップはノワール星人に引き渡せばアラドスは助かるかもしれないがメカレーターに改造されるとして、自分はせめて故郷の地球でアラドスを死なせてあげたいと述べる。
改造されて利用されても生きられるだけで良いのか? 生まれ故郷で死ねるからと言って助かる可能性を捨てて死を選択して良いのか?
簡単に答えが出せない話である。

 

メカレーターに改造されたラグストーンが登場。
劇中では語られていないが以前の「魔法の石」での戦いでノワール星人のコントロールが弱まったので支配力を高める装置や攻撃力強化の改造が行われたらしい。

 

ラグストーン・メカレーターと戦うコスモスはエクリプスモードにモードチェンジする。カオスヘッダー関係以外で戦闘力強化の為にエクリプスモードにモードチェンジしたのは今回が初めてとなる。
それでもラグストーン・メカレーターとノワール星人の宇宙船の同時攻撃を受けてエクリプスモードは初の大ピンチに陥る。ラグストーンは前回の「魔法の石」でもコロナモードのネイバスター光線が通用しない強敵だったが、ノワール星人との同時攻撃とは言え、今まで無敵だったエクリプスモードを追い詰めるとは恐れ入る強さだ。

 

今回は『コスモス』では珍しい宇宙船との空中戦が見られる。
怪獣を資源として利用して滅亡に追いやってしまったノワール星人を倒した事で地球はノワール星とは違う未来を選択したと考えられるが、怪獣の命を奪わないよう努力しているムサシが宇宙人を躊躇い無く倒してしまうのは見ていて違和感を覚える。

 

最後にクライマックスでのアラドス復活はやってはいけなかったと思う。
時空間を操作できるのなら十分考えられる能力なのだが、もしかしたら5000年後の地球は怪獣も人間も全ての生物が滅んでしまったが時空間を操作できるアラドスだけは滅亡を避けて生き残れたとも考えられるようになったので、今回の話の肝である「5000年後の地球でも怪獣は生きている」と言う部分が弱くなってしまった。