帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「機神出撃」

「機神出撃」
ウルトラマンデッカー』第11話
2022年9月24日放送(第11話)
脚本 足木淳一郎
監督 越知靖

 

変形怪獣ガゾート
身長 59m
体重 5万t
輸送中のテラフェイザーを襲うが返り討ちにされる。
後のライバッサーと同じく地球に生じた異物を排除しようと言う本能に従っていたらしい。

 

稲妻怪鳥ヒナバッサー
身長 2m
体重 200kg
ライバッサーの小型種。
カナタ達がテラフェイザーにハネジローを搭載しようとするのを察知して妨害しようとするがデッカー、リュウモン、イチカによって撃退される。
名前の由来は「雛」かな。

 

稲妻怪鳥ライバッサー
身長 55m
体重 2万t
突如発生した台風の中から現れた。
目標はガゾートと同じくテラフェイザーらしい。
実戦経験が少ないAIを搭載していたテラフェイザーを倒すが実戦経験豊富なハネジローを搭載したテラフェイザーには苦戦し、最後はデッカーのウルトラデュアルソードのトリプルデッカースクラムで倒された。
名前の由来は「雷(らい)」かな。
『R/B』の「さよならイカロス」のグエバッサーの着ぐるみを改造している。

 

物語
遂にテラフェイザーの起動実験が行われる事になるがガゾートにライバッサーと次々に怪獣が現れて実験を妨害しようとする。
ムラホシ隊長は怪獣達の目的がテラフェイザーにあるのではないかと推理する。

 

感想
遂に『デッカー』のレギュラーロボットであるテラフェイザーが登場。
冒頭の輸送場面は『新世紀エヴァンゲリオン』の3号機を思い出すもので嫌な予感がしたがスフィアに寄生されると言う展開は今回の話では無かった。

 

ガゾートは何度か出現しているがTPUにとってまだ謎の多い怪獣との事。
『ティガ』で生態がかなり解明されていたのでシズマ会長に聞けば分かると思われるが、シズマ会長が別の宇宙から来た事はトップシークレットなので、『ティガ』の世界の情報はそう簡単には教えられないのかもしれない。

 

テラフェイザーは元々は闇の巨人への対抗策であったが完成前に戦いが終わったのでGUTS-SELECTの縮小と共に計画が凍結されていたとの事。
ティガの存在を知っていたシズマ会長だがトリガーが本当に復活するか不確かだったのでトリガーが復活しなかった場合に備えて闇の巨人と戦える巨大ロボットを開発させていたのは納得できる。
結局、テラフェイザーは闇の巨人との戦いでは完成しなかったが、おそらくそれはGUTSファルコンにはガッツウイング、ナースデッセイ号にはナースと基となる機体があったのに対してテラフェイザーは一から開発する事になったからと思われる。もしキングジョーストレイジカスタムを入手できていたら開発スピードが上がって闇の巨人との決戦に間に合っていたかもしれない。

 

因みにアサカゲ博士は計画の最初から関わっているわけではなく本人も「後乗りした」と言っているので彼の前にテラフェイザーの計画を始めた人物がいたと思われる。ひょっとしたら『ダイナ』の『光の星の戦士たち』のキサラギ博士のような人物がいたのかもしれない。

 

最初はとっつきにくそうな感じだったアサカゲ博士だが、「出動! GUTS-SELECT」で皆と勝利を喜び、今回の話ではテラフェイザーの説明を楽しそうにしたり、一緒に戦いを潜り抜ける事でカナタ達に好印象を抱いたりと段々と親しみが持てる描写になっている。

 

意外と『デッカー』は地球怪獣が説明無くいきなり現れて暴れる展開が多いが今回の話でムラホシ隊長は地球に生じた異物を排除しようとする本能の為に出現しているのではないかと言う説を考える。
しかし、その説を採用すると地球人が開発したはずのテラフェイザーが宇宙生命体のスフィアと同質と言う事になってしまうとカイザキ副隊長に反論される。
ムラホシ隊長は怪獣学は専門外なので「湖の食いしん坊」ではエレキングの餌の問題で失敗を犯し、「人と怪獣」ではネオメガスがサドラやキングゲスラを襲った理由を天敵ではないかと誤った推理をしたが、今回の話では専門外故にテラフェイザーの本質を当てる事となった。

 

意気揚々とテラフェイザーをライバッサーに立ち向かわせたアサカゲ博士であったが搭載していたAIが実戦経験不足の為に怪獣の動きに対応できずあっという間に倒されてしまう。そこでGUTSホークで実戦経験を積んだハネジローをテラフェイザーに搭載する事になる。
『ダイナ』ではハネジローはメインストーリーに絡まず登場回数も実は少ないのだが『デッカー』ではハネジローにAIと言う設定を追加する事で上手くメインに絡ませている。

 

ヒナバッサーとの戦いは危険のまっただ中に放り込まれてパニクるハネジロー、ヒナバッサーに合わせて2mの大きさに変身してしまったデッカー、人間大に変身してしまった為にリュウモンとイチカにカナタについて事情を求められてしまうデッカー、怪獣と直接対峙した事が無かったのでいつもに比べて落ち着きが無くなっているアサカゲ博士と面白い場面が連続して見られる。
巨大怪獣との戦いに見慣れた後に人間大の怪獣との戦いを見るとどうしても迫力不足を感じてしまうが、今回は巨大戦では見られないシチュエーションがたくさんあって巨大戦とは違った満足感が得られた。

 

ギャグシーンであるが実は今回の人間大デッカーとのやりとりでGUTS-SELECTはデッカーが人間の味方であると言う確かな反応を得る事が出来た。
その後のヒナバッサーに苦戦するデッカーを助けて、倒れているデッカーに手を差し出して立ち上がらせる場面もウルトラマンが人間大だからこそ出来た展開であった。
人間がウルトラマンの手を引いて立ち上がらせる場面や人間とウルトラマンが背中合わせで戦う場面は長いウルトラシリーズでも過去に例が無かったもので、こういうところで新しいシチュエーションや場面を出してくるのが実に『デッカー』らしい。

 

TR粒子を散布して相手の光線を拡散させて無効化させるのはロボット作品ではよく見られるがウルトラシリーズではあまり見られなかった演出だった。
特撮とは別にアニメも毎年作られて新しい演出がどんどん生まれていっているので、そういう演出を取り入れる事で今までのウルトラシリーズでは見られなかった新しい絵を見る事が出来る。

 

ヒナバッサーの妨害を避けながらハネジローをテラフェイザーまで届ける場面がラグビーぽかったが今回のデッカーの決め技はラグビー用語が含まれている「トリプルデッカースクラム」と言う名前であった。