「異次元からのいざない」
『ウルトラマンデッカー』第18話
2022年11月19日放送(第18話)
脚本 ハヤシナオキ
監督 坂本浩一
大蟻超獣アリブンタ
身長 57m
体重 6万2千t
怪獣を超越したパワーを持つ「超獣」。
蟻地獄を作って獲物を引きずり込もうとする。
女性のイチカを狙って襲うところがあった。
アガムスが操縦するテラフェイザーと協力してデッカーを追いつめるがデッカー・ミラクルタイプのデッカーマジックで形勢を逆転されると最後はデッカー・ダイナミックタイプのデッカーフラッシュダイナミックで倒された。
異次元人ヤプール
身長 不明
体重 不明
「悪魔」と呼ばれている存在。
光の存在であるウルトラマンを目障りとしてアガムスに協力を申し出る。
カナタに変身してリュウモンとイチカを罠にはめ、さらにアガムスに変身してデッカーを罠にはめて異次元に連れ去った。
物語
TPUの偵察隊に発見されたアガムスだがそこにヤプールが介入して協力を申し出る。
アガムスと再会したカナタはどうやったらアガムスを救えるのかと訴えるが……。
感想
アガムス再登場。
アガムスが見付かった事でカナタは未来人デッカーに頼まれた「アガムスを救ってやってくれ」を思い出し、自分達を心底憎んでいる相手を救う事は戦う事より大変な事に気付く。
ここで「光と闇、ふたたび」でケンゴが自分を心底憎んでいたカルミラを救った展開を入れるのが上手い。過去に救えた事が一度でもあると持てる希望は全然違う。
アガムスをどうしたら救えるのか分からないと訴えるカナタ。
この手の話だと色々頑張って未来を変えてハッピーエンドと言うのがあるが、『デッカー』では過去に介入しても未来は変わらず新しい未来が生まれるとなっているのでこの時代でどんなに頑張ってもアガムスの未来が変わる事は無い。だからか、『デッカー』の終盤はアガムスをどうしたら救えるのか分かりやすい道標が無くて物語が進んでいるのか分かり難いところがあった。
『デッカー』や『アベンジャーズ/エンドゲーム』を見ると過去を変えても未来は変わらないと言う設定は矛盾が生じにくいのだが『バック・トゥ・ザ・フューチャー』や『ターミネーター』のような過去や現在での頑張りで未来が変わると言う設定の方がドラマが分かりやすくなるのかなと感じた。
2022年は『A』50周年だからかヤプールが再登場している。
ウルトラシリーズは初期作品である『Q』『初代マン』『セブン』の周年記念はほぼ必ず組まれていて本作でも『セブン』55周年としてディメンションカード怪獣等に『セブン』の怪獣が選ばれている。知名度や人気を考えたら『初代マン』『セブン』の企画が多くなるのは理解出来るが、やはり他の作品も取り上げてほしいなと思う。
『A』から登場しているヤプールだが今回は『A』の「逆転! ゾフィ只今参上」以来の合体・巨大化していないヤプールの登場となった。
巨大ヤプールは異次元に乗り込んできたエースを迎え撃つ戦闘形態のようなものなので自身が巨大化して戦わないのなら巨大ヤプールの姿ではないのは納得。(その割に今回のヤプールは歴代でも自分の体を使って動く奴だったが……)
戦闘機を真下から見上げるカットがあっていつもより街の上空を飛んでいるのを感じた。
アリブンタが初登場した『A』の「大蟻超獣対ウルトラ兄弟」の「アリブンタと手がハサミになっている巨人VS二人のウルトラマン」と言う構図を今回は手がハサミになっているテラフェイザーとデッカー・ミラクルタイプの分身で再現していた。
今回はヤプールが使役する超獣アリブンタとアガムスが操縦するロボット・テラフェイザーが共闘している。ディメンションカード怪獣は『デッカー』後半になると出番が無くなるがアガムスが敵になった事でデッカーの相手が複数になる可能性が高くなった後半こそディメンションカード怪獣の活躍の機会だったと思う。
今回の話のカナタはどうやったらアガムスを救えるのか色々考えていたが最終的に今のアガムスを救えるのは容易ではないと言う事が分かってアガムスを「救う」のではなくとりあえず「止める」事を決める。
基本的にヒーロー作品のレギュラーの敵キャラは強い事が多いのだが、アガムスは正体を現した「魔神誕生」の時点でスフィアザウルスを援護する形でカナタが変身するデッカーに勝利するが未来人デッカーが変身したデッカーとは互角で、「明日への約束」や今回の話ではダイナミックタイプに敗北するなど他の作品に登場するヴィランに比べて圧倒的な強さを見せられず、さらに今回の話では「明日への約束」でのダメージが回復していない状態となっていた。単独ではデッカー達に勝てる状況ではなくなった為、アガムスは目的の為に色々なものを利用する事となる。
これまで「カナタ個人に恨みは無い」としていたアガムスだったがカナタがデッカーに新しい力であるダイナミックタイプを誕生させた事で自分にとって危険で邪魔な存在であると言う認識に変わる。
だが、何だかんだ言って「カナタを殺す」と言う一線は中々越えられないところがあって、今回もヤプールと協力してカナタを地球から追い払う事に成功したが、よく見たらもっと悪辣になればカナタの命を奪える機会は何度もあった。この辺りは個人的な恨みの無さがあと一歩を踏み出せなくさせていたのかもしれない。