「地図にないカフェ」
『ウルトラマンオーブ』第22話
2016年12月3日放送(第22話)
脚本 勝冶京子
監督 市野龍一
変身怪人ピット星人ミュー
身長 155cm
体重 60kg
地球から最後の船が出る前に「カフェ★ブラックスター」の珈琲を飲みに来た。
ウルトラマンであるガイと因縁があるようだが詳細は不明。
円盤マスターブラック店長
身長 171cm
体重 67kg
美味しい珈琲を入れる「カフェ★ブラックスター」の店長だが、その正体はブラック指令であった。
地球侵略の夢を諦めて宇宙に脱出しようとするが、相棒のノーバが地球侵略を諦めていなかった事を知り、正体を現してオーブと戦う事を決意する。
オーブにノーバを倒されて生きる目的を失うが、ガイの説得を受け、後日、美味しいラーメンが出てくる「ラーメン★ブラックスター」を開く。
円盤生物ノーバ
身長 10cm~57m
体重 20g~1万t
「カフェ★ブラックスター」のマスコットだが、その正体はブラック指令の相棒である円盤生物であった。
地球侵略の夢を捨てる事が出来ず、巨大化して街を破壊しオーブと戦う。
目から怪光線を放ち、口から赤いガスを吐く。
最後はオーブオリジンのオーブスプリームカリバーを受けて花火のように爆発した。
物語
UFOとスペースデブリの衝突事故が相次ぐ。
そんな中、SSPは「地図にないカフェ」と言われる「カフェ★ブラックスター」の調査を行う。
感想
ビートル隊がスペースデブリの落下事故を調査している場面を見ると渋川さんが立場ある人だと言う事が分かる。
今回の隠されたサブタイトルは『帰マン』の「星空に愛をこめて」。この話に登場したケンタウルス星人の茜は地球で生きる可能性があったが残念ながらそれは叶わなかった。
「カフェ★ブラックスター」の常連客として「ニセモノのブルース」に登場したババリューがいる。ブラック店長との関係が「戦友」で、外見が惑星侵略連合に所属していた時のものなので、「ニセモノのブルース」以前の付き合いだと思われる。(ババリューは惑星侵略連合を裏切っているので、他の宇宙人と出会ってしまう「カフェ★ブラックスター」に来るのはリスクがあるだろうし)
地球の周りにあるスペースデブリによって宇宙人達は地球を簡単には出られなくなり、ダダの乗った宇宙船もスペースデブリと衝突して落下してしまっている。
昔は多くの侵略者が地球に来ていたと言うのに今では宇宙ゴミによって侵略者は地球から出るのも一苦労と言うところに時代の変化と侵略者達の哀愁を感じる。惑星侵略連合の顛末もだったが『オーブ』は従来の侵略者達の時代は終わったと言う描写がいくつかある。
ノーバに覗き込まれたビルにいた退職した男性を演じているのは市野監督。
この人物は後に「逆襲の超大魔王獣」で避難中に女の子を突き飛ばし、『絆の力、おかりします!』でデアボリックのミサイルで死んでしまうとの事。
「シンプル・イズ・ザ・ベスト。最近の怪獣はゴチャゴチャしててイカン」。
言われてみれば確かにノーバを始めとして『レオ』の怪獣はシンプルなのが多かった。しかし、昔はシンプルで今はゴチャゴチャしているかと言ったら、『レオ』の前の『A』の超獣や『T』の怪獣が結構ゴチャゴチャしていたので、昔と今と言う簡単な区分けの話ではなかったりするのだが。(ブラック店長は昔を引きずっている人物なので、あえて「昔は良かった」的な発言をさせた可能性はあるが)
今回の話は『レオ』のブラック指令とノーバが再登場しているが、あまり『レオ』との関わりは無く、ブラック店長とノーバのキャラも演じている赤星昇一郞さんのイメージに引っ張られて全体的にコミカルな感じになっている。最後にブラック店長が「ラーメン★ブラックスター」を開くようになるのは『ティガ』の「オビコを見た!」でオビコが影法師と一緒に夜鳴きそばをしていたのが元ネタかもしれない。
『ギンガS』の「君に会うために」のジェイスや『X』の「われら星雲!」の星雲荘の宇宙人達や「ニセモノのブルース」のババリュー等、ニュージェネレーションシリーズには地球で生きる事になった宇宙人が何人かいる。
彼らはジェイスがアイドルのライブのルールを守ったり星雲荘の宇宙人達が拾った財布を警察に届けたりと「地球のルール」を守っている。『初代マン』の「侵略者を撃て」でハヤタ隊員が地球のルールに従うのならバルタン星人が地球で生きる事も不可能ではないはずと言っていたが、それが実現したと言える。
しかし、周りは地球人だらけで宇宙人の仲間がいないジェイス達と違って、今回登場した「カフェ★ブラックスター」は宇宙人達が集う場所で逆に地球人達は入り込めない場所となっている。そしてここではブラック店長が定めた「宇宙人のルール」がある。
この地球人達は入り込めない宇宙人達のコミュニティは『ジード』の『つなぐぜ! 願い!!』に登場する第9地区や『タイガ』に登場するヴィラン・ギルドへと引き継がれていき、地球で生きる宇宙人達は現状に不満を抱き始め、やがて地球のルールを自分達のものへと変えようと犯罪を行うようになってしまう。
「喧嘩なら外でお願いしますよ。店の中で正義だ悪だなんて野暮な事は言いっこ無しです」。
ウルトラシリーズは正義と悪に分かれて物語が展開される事が多く、それは平成ウルトラシリーズでもニュージェネレーションシリーズでも変わらない。『オーブ』もガイとジャグラーの戦いは正義と悪の戦いである。ブラック店長も正義と悪がある事を認めた上で、店の中ではそれについては触れないと言うスタンスを取っている。これはウルトラシリーズではかなり珍しい。
劇中ではジャグラーの来店場面は無かったが店に通っていた事は語られているので、場合によってはガイとジャグラーが店で会うも今回は戦わないで珈琲を飲んで終わる可能性もあり得た。又、ババリューが以前に店に来ているので、惑星侵略連合も生き残っていたら今回登場してガイやジャグラーと一緒に珈琲を飲んでいた可能性があった。
こう言う敵対関係にある者が会っても戦いが起きない場所と言うのは面白いが、勧善懲悪が基本の子供向け作品ではまだちょっと難しかったのか、あまり後の作品には反映されなかった。