帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

『劇場版 ウルトラマンジード つなぐぜ! 願い!!』

『劇場版 ウルトラマンジード つなぐぜ! 願い!!』
2018年3月10日公開
脚本 根元歳三
監督 坂本浩一

 

宇宙警備隊
様々な宇宙で知的生命体を抹殺して星々を破壊していくギルバリスの謎を追っていた。
ジードのいる地球にサイバー惑星クシアが現れた事を知ってウルティメイトフォースゼロを派遣する。
戦いが終わった後、ジードが一人前のウルトラマンになった事を喜ぶ。

 

ウルティメイトフォースゼロ
アナザースペースでギャラクトロン軍団と戦っていた。
ゾフィーからの指令を受けてジードがいるサイドスペースに向かった。
戦いが終わった後、ジャンボットはリクを見て……。

 

ウルトラマンオーブ
オーブオリジン時 身長 50m 体重 5万t
スペシウムゼペリオン時 身長 50m 体重 5万t
バーンマイト時 身長 50m 体重 5万t
ハリケーンスラッシュ時 身長 50m 体重 3万5千t
サンダーブレスター時 身長 55m 体重 5万5千t
オーブトリニティ時 身長 50m 体重 5万t
ライトニングアタッカー時 身長 50m 体重 5万t
エメリウムスラッガー時 身長 身長 50m 体重 5万t
相変わらずさすらいの旅を続けている。
ギャラクトロンの謎を追ってリク達がいるサイドスペースにやって来た。
自分一人で全てを守ろうと肩に力が入っていたリクにアドバイスを送る。

 

ジャグラスジャグラー
魔人態 身長 195cm~49m 体重 100kg~4万7千t
ガイより先にギルバリスの弱点を見付けようとサイバー惑星クシアに侵入するが発見されてギャラクトロンMK2に追われる事となった。
地球にある「太平風土記」を使ってギルバリスを倒す為のアイテム「赤き鋼」の情報を得る。
アイルのペンダントを使って自身の生命エネルギーを増幅させて一時的に巨大化するとウルトラマン達と協力してギャラクトロン軍団と戦った。
戦いが終わった後、レイトに沖縄土産であるシーサーのぬいぐるみを貰った。

 

アイル・サデルーナ
クシア人最後の生き残りで、父のブラン・サデルーナが開発したギガファイナライザーを持って太古の地球に流れ着き、以降は地球を見守りながら沖縄で過ごしていた。
普段は「比嘉愛琉」と言う名前でアウトドア教室の女性ガイドとして働いている。
リクこそがギガファイナライザーを受け継ぐ者だと考え、最後はリクやグクルシーサーを守って命を落とした。

 

獅子聖獣グクルシーサー
身長 頭頂高・40m 全長 50m
体重 4万3千t
太古の地球に流れ着いたアイルと出会った沖縄の大地を守る存在。
普段は石像になっているがアイルのペンダントで呼び出されて戦う。
沖縄を襲うギャラクトロン軍団と戦い、戦いが終わった後は石像に戻った。
名前の由来は沖縄にある「シーサー」から。

 

サイドスペース第9地区の宇宙人達
沖縄にある違法滞在している宇宙人達が密かに集まるエリア。宇宙盗賊マージャー星人が総元締めをしている。
これまでの作品に登場した宇宙人の他に鉄牛星人ブルック、宇宙野人ラワーン人、剛力怪人イダラーダ、植物宇宙人ルフル、宇宙鬼ゲマハ星人、魔界人マグドム、侵略宇宙人ノルヴァー星雲人、ジャキ星人アーロンがいる。

 

アンドロイド兵バリスレイダー
身長 2m
体重 130kg
サイバー惑星クシアから送り込まれた戦闘兵士。
レイディングソードで生命体を襲う。
リク達を襲うがライハ達によって倒された。

 

シビルジャッジメンターギャラクトロン
身長 61m
体重 6万1千t
全宇宙の知的生命体を抹殺する為にギルバリスが様々な場所に送り込んでいた起動兵器。
ギルバリスを倒す事が出来るギガファイナライザーの探索も行っていた。
沖縄を破壊するが最後はジード達によって倒された。

 

シビルジャッジメンターギャラクトロンMK2
身長 61m
体重 6万7千t
強化改造されたギャラクトロンの新型。
ギャラクトロンベイル、ギャラクトロンゲベール、ギャラクトロンシュトラール、ギャラクトロンクリンガー、ギャラクトロンファングで破壊活動を行う。
ギルバリスを倒す事が出来るギガファイナライザーの探索とその秘密を知るジャグラーの抹殺を使命としていた。
ゼロ、オーブ、ジードを相手に優勢に戦うが最後はジードの零距離レッキングバーストで倒された。
「MK2」は『機動戦士Zガンダム』の「ガンダムMk-Ⅱ」かららしい。
 

巨大人工頭脳ギルバリス
クシア人が宇宙に永遠の平和を築く為に作った人工頭脳だったが、宇宙の平和の為に知的生命体は邪魔だと判断した為、クシア人に反旗を翻して惑星クシアをサイバー惑星に変えると全宇宙の知的生命体の抹殺を開始した。
自身を倒す事が出来るギガファイナライザーの存在を知り、その行方を追う。

 

ラストジャッジメンターギルバリス(完全態)
身長 75m
体重 9万7千t
人工頭脳だったギルバリスが戦う為のボディを構築した姿。
バリスデストルツ、バリスチオーネ、バリスコルノーラ、バリスダルティフィーで敵を倒す。
最後はウルティメイトファイナルのクレセントファイナルジードで倒され、ギルバリスが倒されるとデジタル化されていた人々も元に戻った。

 

物語
リク達の地球にジャグラーが現れ、更にそれを追ってギャラクトロンMK2が出現する。
ギャラクトロン事件の黒幕である巨大人工頭脳ギルバリスを倒すアイテム「赤き鋼」の謎を追ってリク達は沖縄に向かう。

 

感想
ジード』の劇場版。
沖縄がロケ地になっていて、TVシリーズの「ストルムの光」と一緒に撮影された。
沖縄が舞台だからか『ゴジラ対メカゴジラ』を思わせる要素がいくつかある。

 

絆の力、おかりします!』と同じく前作の『オーブ』と現行作の『ジード』のクロスオーバー作品となっているが、『絆の力、おかりします!』が「現行作関係の事件に前作の人物が巻き込まれる」と言う作りであったのに対し、今回は「前作関係の事件に現行作の人物が巻き込まれる」と言う作りになっている。

 

今回の話はゼロがいなくなって一人で戦う事になったリクの焦りを描いている。これまで一緒に戦ってきたウルトラマンがいなくなった事で重圧を感じると言う話は『ガイア』の「新たなる戦い」や『メビウス』の「ウルトラマンの重圧」がある。
因みに『レオ』も変身できなくなったとは言えセブンがいたので「MAC全滅! 円盤は生物だった!」は「これまで一緒に戦ってきたウルトラマンがいなくなった」と言うシチュエーションになるのだが、その前の「レオ兄弟 ウルトラ兄弟 勝利の時」でレオはウルトラ兄弟に入ってセブンと肩を並べる位置にまで来ていたので、セブンがいなくなっても焦る事無く事件に対処する事が出来た。

 

アイルの父親であるブランを演じているのは宍戸開さんで、ウルトラシリーズでは『マックス』のヒジカタ隊長が有名。又、「MJガリレー」のバーテンダーは『ダイナ』のカリヤ隊員役の加瀬信行(尊朗)さんが演じている。

 

出番が少ないながらも印象に残るキャラクターであったジャキ星人アーロンをジャッキー・チェンのモノマネをしているジャッキーちゃんが演じている。
因みにタロウの声を担当している石丸博也さんはジャッキー・チェンの吹き替え担当として有名だが残念ながら本作ではタロウの新規の台詞は無かった。

 

宇宙警備隊がギルバリスの謎を追っている場面でウルトラの母が「救助活動を続けている銀十字軍」と言っている。「銀十字軍」は昔から設定はあるのだが劇中で言及される事は大変珍しい。

 

ギャラクトロン軍団と戦うウルティメイトフォースゼロ。こちらも5人揃っての戦いは意外と珍しい。

 

ベリアルを倒した事で世間はジード派が強くなっていく中で「知りたいワイド」のコメンテーターは今もジード懐疑派であった。軸がブレていない事は良い事だけれど、ジード懐疑派が減ったからか以前に比べて感情的にジードの行動を批判しているように見える。

 

サイドスペースに来たジャグラージードの事を知っていた。
多くの宇宙で暴れ回ったベリアルを倒した存在としてジードは他の宇宙でも名前が知られるようになったようだ。

 

『オーブ』に登場した「太平風土記」が『ジード』にも登場。今のウルトラシリーズマルチバースを取り入れているので、別の宇宙に「太平風土記」があっても不思議ではない。同じ名前の書物が色々な作品に登場するようになるのはクトゥルー神話の「ネクロノミコン」に似ているかな。
『オーブ』に登場した「太平風土記」は未来を記したものだったが、今回登場した「太平風土記」は事件解決後に記述内容が変わっているので単なる未来予知ではなさそうだ。

 

リクと愛琉の間にモアはただならぬ雰囲気を感じ取る。
昼食の場面で愛琉が「大地から生きる力を感じる」と言う話をして皆が食事の手を止めて聞いている中、一人黙々と食べ続けているモアが面白い。

 

今回のジャグラーは「宇宙の平和を守る」と言う目的があったのだが、ガイより先にギルバリスの弱点を見付けようと一人で行動した結果、地球にギガファイナライザーがある事をギルバリスに知られる事になってしまう。

 

今回のジャグラーは何かを守る為に行動している。
今回はやたらとレイトの事を気に入って絡んでいたが、よく考えたら沖縄にいるメンバーでリクはウルトラマン、ライハとゼナは高い戦闘力を誇る、モアやペガもアナスタージ・ガンやダーク・ゾーンと言った武器や特殊能力を持っている中、レイトだけ戦闘力が無い一般人だったので、ジャグラーはレイトをからかっているように見せながら実はレイトを守っていたのかもしれない。

 

大地の守護神が封印した鉄の悪魔を打ち負かす赤き鋼。
シーサーの石像の前に置かれている石をジャグラーが手にするが何も起きない。
「赤き鋼は正しい心を持った選ばれた戦士にしか使えない」と言う説明を聞いたジャグラーは「だったら俺は駄目じゃねぇか。また、このパターンか……」と愚痴る。
う~ん。今のジャグラーだったら選ばれても良いと思うんだけれど、一体何が彼をヒーローにするのを邪魔しているのだろうか?

 

一般人代表のようなレイトであるが、宇宙人のジャグラーと出会って普通に名刺を渡せるところを見るともう彼を一般人と呼ぶのは難しいかも?

 

日本の怪獣作品で沖縄が舞台と言えば『ゴジラ対メカゴジラ』!
グクルシーサーを呼び出す時に本仮屋ユイカさんやMay J.さんが『絆∞Infinity』を歌い出したらどうしようとドキドキしたがそんな事は無かった。

 

地球に違法滞在している宇宙人達が密かに集まるエリア「第9地区」。
昔のウルトラシリーズにはこのような宇宙人達のコミュニティは出てこなかったが、漫画『ULTRAMAN』に登場する異星人の街や『オーブ』の「地図にないカフェ」のカフェ★ブラックスターや『タイガ』のヴィラン・ギルドと段々と出るようになってきた。
昔の地球は殆どが地球人で宇宙人はごくわずかであったが、いつの間にか数多くの宇宙人が地球で暮らすようになっていた。

 

宇宙人達が集まる酒場「MJガリレー」は大人の雰囲気が漂う場所。
男性陣がゼナ、レイト、ガイ、ジャグラーとなっているので、いつも以上にリクが子供に見えた。

 

オーブニカの音と共にガイが登場する。
劇場で見ていた時、近くにいた子供が音楽が鳴った瞬間に「ガイだ!」と言っていたので、登場の際に定番の音楽を持っていると言うのはキャラを印象付けるのに有効である事を改めて感じた。

 

リク「僕、朝倉リク。ウルトラマンジードです」、
ガイ「初めまして、ジードさん。あ、ちょっと待って。俺の方が先輩だよな……。ジード、ジードさん。どっちが良いかな?」、
ジャグラー「どっちでも良いだろう」。
ここでジャグラーに尋ねる事でガイとジャグラーの間のわだかまりが大分無くなっている事が分かる。
「オーブの方がジードより先輩」と言う話だが、マルチバースでそれぞれの宇宙の時間の流れが違っているので、実際のところはどうなっているのかは不明。(たとえば『サーガ』で共闘したムサシとゼロだが、ムサシは『オリジンサーガ』で、ゼロは『ファイトオーブ』でオーブと共闘している。この二つの話の間には数千年単位の時間が流れているのだが、では、ムサシとゼロにも数千年の時間の差が生じているかと言ったら、おそらく違うと思う) まぁ、ここはあまり難しく考えず、単に放送された順番と考えた方が良さそう。

 

リクの重圧と焦りを感じたガイは自分のこれまでの人生を例に出して「ウルトラマンだって完璧じゃない。一人で出来ない事もある。言ったろ、肩の力を抜けって」と助言する。
『オリジンサーガ』の時は先輩ウルトラマンから色々と助言をもらっていたガイが後輩ウルトラマンに助言をするようになったのが感慨深い。

 

クシア人は宇宙に永遠の平和を築く為に人工頭脳ギルバリスを作ったが、ギルバリスは宇宙の平和の為に知的生命体は邪魔だと判断し、クシア人に反旗を翻して惑星クシアをサイバー惑星に変えると全宇宙の知的生命体の抹殺を開始した。
どの時代もどの宇宙も似たような状況が起こるものなんだなぁ……。

 

クシア人はギルバリスを倒す為に善の心をエネルギーに転換するギガファイナライザーを作っていて、更にその過程で悪の心をエネルギーに転換するギガバトルナイザーが生まれていた。
さらっとギガバトルナイザーの製作者が判明して驚いた。レイブラッド星人が作ったのではなかったのか……。
ギガバトルナイザーは怪獣を支配下に置くと言う他者の力を使う物で、ギガファイナライザーは使用者の本来の力を最大限に引き出すと言う自分の力を使う物となっている。又、ギガファイナライザーは使用者一人が戦うのに対し、ギガバトルナイザーは百体もの怪獣を同時に動かす事が出来ると戦闘に参加できる数も大きく違っていて、クシア人がギルバリスを倒す為にあらゆる可能性を探っていた事が分かる。
最終的にギガバトルナイザーの使用者はベリアルに、ギガファイナライザーの使用者はベリアルのコピーであるジードになると言うのはベリアルとジードがそれぞれ持っていた別の可能性を感じる。
大怪獣バトルシリーズにはバトルナイザーと言うアイテムが登場したが、これはギガバトルナイザーを手に入れたレイブラッド星人がそこから作り出した量産タイプと言う事なのかな。

 

ガイとリクのW変身!
オーブとジードの変身はどちらも「主人公ウルトラマンに先輩ウルトラマン二人の力を融合させる」となっているが、今回のW変身は二作品続けて同じパターンの変身だったからこそ成立する演出になっている。

 

サンダーブレスターになったオーブを見てジードが「え? 似てる!?」と困惑するのは予想されたネタだけれど実際に見るとやっぱり笑える。
今回は他にもライトニングアタッカーとソリッドバーニングのメカニック繋がり、ルナミラクルゼロとハリケーンスラッシュとアクロスマッシャーのスマート繋がり、ストロングコロナゼロとバーンマイトの赤繋がりと共通点を持った組み合わせがある。
W変身もだったが、設定や演出が似ているのならあえて一緒にする事でスペシャル感を出すと言うのが面白かった。

 

自身や相手をデジタル化する事が出来るサイバー惑星クシア。
『X』のデータ化を思い出したが劇中でもオーブがオーブトリニティでゴモラアーマーの力を使ってデジタル化されたジードを救出している。『X』の宇宙にある「データ化」とサイバー惑星クシアの「デジタル化」は同じ原理なのだろうか。
そう言えば『X』のサイバー怪獣の技術はレイオニクスに通じるものがあったが、『X』の宇宙にある技術が進んでいくといずれはサイバー惑星クシアやギガバトルナイザーの技術に辿り着く可能性があると言う事だろうか。

 

ギルバリスの猛威に焦ったジードは逆に周りを危険にさらしてしまう。そして遂にジードは真っ赤な目になって零距離のレッキングバーストでギャラクトロンMK2を倒す。
これまでも垣間見られたジードの危険な一面が遂に表に出てしまった瞬間であった。
この後、ジードは仲間を守れなかった無力感から戦う意思を失ってしまうが、ひょっとしたらベリアルも過去に似たような状況があって、彼の場合はリクと違って無力感から更なる力を欲したのかもしれない。又、ジードは先輩であるゼロやオーブに守られる事を恥とは考えないが、もしベリアルが同期のケンに守られたら、ひょっとしたら彼はそれを「屈辱」と感じてしまうかもしれない。

 

ゼロとオーブが消息不明になり、ジードも戦えなくなった中、ジャグラーはアイルのペンダントを使って一時的に巨大化しウルトラマンの代わりに戦う。
そう言えば、ジャグラーも「くるる ~眩る~」で戦いの中で怒りにまかせて暴れた結果、魔人態に変身してしまった事があった。リクは皆の言葉を受けた事で闇に堕ちずに済んだが、ジャグラーは周りと距離が出来て闇にどっぷりとハマってしまった。

 

ウルトラマンに変身できないリクにバリスレイダーが迫るがライハ達が助けに来る。
今回の話の冒頭でリクはウルトラマンは自分しかいないとして一人で地球の平和を守ろうとしていた。実際、ゼロは地球を去ってゼガンもアトロシアスとの戦いで倒されてしまっている。ライハもゼナも巨大怪獣とは直接戦えず、特別チームが無いので戦闘機で怪獣と戦う人々もいない。リクが地球の平和を守れるのは自分だけと感じたのも無理は無い。
その一方でジードは人間大に変身した事が無いので、リクは人間大の敵が相手だと戦う事が出来ない。そこを今度はライハやゼナ達がリクを守って戦うと言う逆転の展開が上手かった。
確かに巨大怪獣が相手だとウルトラマンであるリクしか戦う事が出来ない。しかし、人間大の相手だと今度はリクは戦う事が出来ず、周りの人物が代わって戦う事になる。一人で全てを守るのではなく、皆がそれぞれの役割を持って地球の平和を守るのだ。

 

絶体絶命の危機に陥ったジャグラーに手を差し伸べたのは復活したオーブであった。
ガイ「どうした? 宇宙の平和を守るんじゃなかったのか」、
ジャグラー「フン。守り抜いた後でテメエをぶっ潰す」、
ガイ「勝手にしろ。行くぞ」、
ジャグラー「フッ……」。
ガイが差し伸べた手を掴んで立ち上がるジャグラー。ここで『オーブ』の主題歌である『オーブの祈り』がかかるのに感動する。
『オリジンサーガ』の時にこれが出来ていたら良かったのだろうけれど、あの時はベゼルブ事件が佳境だったし、ガイにはジャグラーに手を差し伸べる余裕が、ジャグラーにはガイが差し伸べた手を受け入れる余裕が無かったので、色々あった今だからこそ出来たものだったのかもしれない。
現在は『オーブ』の「エピソード10構想」は田口監督と中野さんの私案扱いになっているが、何となく自分は「ガイとジャグラーが戦い続けるのがエピソード10構想」で「ガイとジャグラーが一緒に戦うようになるのが映像作品」と言うイメージがある。

 

ギャラクトロンMK2に倒されたと思われたゼロとオーブが無事だったのはゼロがシャイニングウルトラマンゼロに変身して間一髪時間を超えたからとの事。
一応、多用は出来ない設定になっているけれど、万全の状態だと本当に何でもアリになったよね。

 

ライハ「皆、リクを信じてる! 初めて会った時から覚悟は決めてた!」、
モア「勇気燃やして頑張ろ!」、
ゼナ「フン!」、
ゼロ「お前に限界は無い。リク!」、
レイト「衝撃を見せてやりましょう!」、
ガイ「リク、皆の光り輝く希望を守るんだ!」、
ペガ「リクは自分の運命を変えた男でしょう!」、
レム「ジーッとしててもドーにもなりません」、
リク「皆……」。
アイルと皆の言葉を聞いてリクは自分が一人じゃない事、たくさんの仲間がいる事を思い出す。戦いの中でアイルが犠牲になってしまうが、リクはアイルが愛した地球を守る為に立ち上がる!
リク「僕は強くなる!」。
リクが運命や未来を変える事が出来たのは支え合う仲間の笑顔が力になったから。ベリアルには支え合う仲間がいなかったのか、それとも仲間の笑顔が力になると言う事に気付けなかったのか……。
リクが手にした赤き鋼の石化が解けてギガファイナライザーが起動する。そしてリクの中からエボリューションカプセルが現れ、「GEEDの証」でキングが言っていたまだ秘められていた本来の力を解放してリクはベリアルと瓜二つだった姿からウルティメイトファイナルへとアルティメットエボリューションする!
リク「ジーッとしてても、ドーにもならねぇ! ウルティメイトファイナル! つなぐぜ! 願い!!」。
これまで他のウルトラマンの力を借りていたジードは遂に自分自身の姿を手に入れる。ベリアルと瓜二つだったこれまでの姿からジードだけの姿へ。ジードはベリアルとは違う道を歩む事になったのだ。

 

こうして見ると『オーブ』は「かつてあった自分の姿を取り戻す話」で、『ジード』は「自分だけの姿を手に入れる話」であった事が分かる。
「主人公ウルトラマンに先輩ウルトラマン二人の力を融合させる」と言う似た設定を使っていながら正反対のドラマが作られたのが面白い。

 

ギャラクトロン軍団に立ち向かうのはジード、ゼロ、オーブ、ジャグラーの4人。『オリジンサーガ』を思うとジャグラーウルトラマン達と一緒に戦っている姿に目頭が熱くなる。
だが、一人だけイレギュラーな変身をしていたジャグラーは途中で戦線離脱してしまう。
「飽ーきた。宇宙の平和なんか知るか」と言い残して戦場を後にするが、これは体力の限界を誤魔化したものなのか本心なのか。今のジャグラーを見ていると誤魔化しだと思いたいところだが、ギガファイナライザーに正しい心を持っていないと判断されているので、ちょっと気になるところである。

 

サイバー惑星クシアで完全態となったギルバリスとの決戦が始まる。
「知的生命体は平和を望みながら争いを止める事も星を汚す事も止められません。矛盾と欠陥を抱えた弱い存在。宇宙の平和の為に全てをリセットするのです」と言うギルバリスの主張をゼロとオーブは「屁理屈」「破壊の先に本当の平和は築けやしない」と否定するのだが、リクだけは「確かに僕達には欠点もある。欠点だらけさ」と受け入れた上で「でも、皆は僕を信じてくれた……! 信じて頑張ってくれた……! 僕は皆と生きていく! 皆と明日に向かって進み続けるんだ!」と返した。
どうやっても人間は完璧な善となる事は出来ない。リクが挙げた皆の駄目なところのように日常の細かいところでも自分に甘かったり他人に厳しかったり厄介事から逃げたり他人に迷惑を掛けたりしてしまう。では、完全な善でなければ生きていてはいけないのか? この手の問答では人間も悪いだけじゃないと言う展開が多いが、今回は人間は完全な善じゃないけれど、それでも生きていくと言う結論であった。自分達の中にある善ではない部分を認めた上でそれでも生きていくと宣言したのはこれまであまり無かった展開でちょっと驚いた。ここは主人公のウルトラマンが宇宙警備隊から派遣されたり光の具現化だったりすると出すのが難しかった結論かなと思う。

 

ウルティメイトファイナルがクレセントファイナルジードを放つ時に「目覚めよ! 最強の遺伝子」と言う言葉が入る。この「最強の遺伝子」と言うのはもちろん「ベリアルの遺伝子」。今までずっと負の象徴として扱われてきたベリアルの遺伝子が最後にジードの正義の力の源として使われる事となった。

 

戦いが終わった事を知った光の国ではウルトラの母が「ジードも一人前の光の戦士になったようですね」と述べ、ウルトラの父も「我々の未来を託せる新たな勇者の誕生だ」と喜ぶ。ベリアルを知るケンとマリーがジードに期待を寄せているのが嬉しい。
ところでウルトラの父は何故かジードの事を名前で呼ばない。『ジード』は名前の大切さを語ってきた作品なのでここはちょっと気になった。ここから先は自分の妄想だが、ひょっとしたらケンはジードの事を心の中で「ベリアルの息子」と呼んでいたりするのかな。

 

リクを見て誰かに似ていると感じたジャンボットは「「ジャンファイト!」と言ってみてくれないか?」と頼むが、実際にリクが言ったのを聞くと「何か違う」との事。
これはリク役の濱田龍臣さんが『ベリアル銀河帝国』でナオを演じていた事からのお遊び。ランやナオやエメラナ姫は元気かな。

 

今回もグレンファイヤーはアドリブが多そう。「ウルトラ兄弟になりてぇなぁ」は爆笑した。

 

レイトの沖縄土産を受け取る前にゼロ達は帰ってしまったがジャグラーはちゃんと貰っていた。この辺りは実は真面目で律儀な性格が見え隠れする。
今回のジャグラーの目的がガイより先にギルバリスの弱点を見付ける事だったと聞いたガイは「相変わらずだな」と呆れるが、ジャグラーは「テメエを倒すまで死んでも変わってやるもんか」と答える。
「エピソード10構想」が私案になった事でガイとジャグラーの物語は10章を過ぎても終わる事が無くなったのだった。

 

この後の『ジード』の世界がどうなっていくかについてはTSUBURAYA IMAGINATIONで小説と漫画が配信されている『Another Gene』で語られている。

 

「僕には仲間がいるんだ。皆とならどんな事だって乗り越えていける。そうだよね、アイルさん。僕達は皆、皆でウルトラマンなんだ!」。

 

 

ウルトラマンオーブ完全超全集

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ウルトラ怪獣DX ギルバリス

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ウルトラヒーローシリーズ 21 ウルトラマンゼロ

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  • 発売日: 2017/12/27
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ウルトラ怪獣シリーズ 87 ジャグラス ジャグラー

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  • 発売日: 2017/12/27
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