「Episode05 適能者 -デュナミスト-」
『ウルトラマンネクサス』第5話
2004年10月30日放送(第5話)
脚本 荒木憲一
監督・特技監督 北浦嗣巳
インセクトタイプビーストバグバズン
体長 53m
体重 3万5千t
夜間以外でも活動できるビースト。頭部と尾部の両方に顔を持つ。
車ごと人間を捕食した後、食べカスである車の残骸を巣と思われる場所に吐き捨てていた。
ネクサスに苦戦するがナイトレイダーの参戦で三つ巴になると隙を見て離脱した。逃げる際にクロスレイ・シュトロームで羽の付け根を破壊されて墜落したが、そのまま地中に逃げ込んだ。
全身は上下逆さまのイナゴ、頭部はカブトムシの幼虫をイメージしている。
名前の由来は「バグ(虫)」「バズ(蜂が音を立てる)」かな。
肩書きの「インセクト」は「昆虫」と言う意味。
『ネオス』の「見えない絆」のシルドバンの着ぐるみを改造している。
インセクトタイプビーストビーセクタ
全長 100cm~150cm
体重 100kg~150kg
不吉を予兆する謎のビーストで姫矢の悪夢に現れた。
名前の由来は「ビー(蜂)」かな。
『ガイア』の「天使降臨」「地球の叫び」「地球はウルトラマンの星」のドビシを改造している。
物語
謎の悪夢に悩まされる姫矢の前にかつての同僚・根来が姿を現す。
一方、ナイトレイダーにネクサス攻撃の命令が下り、孤門は……。
感想
謎の人物だった姫矢に焦点が当てられる話。
これまでの描写では「ナイトレイダーの前副隊長だったのでは?」と言う感じだったが、今回の話でかつて新聞記者だった事と姫矢と言う名前だった事が明らかになり、次回では同僚の佐久田と根来を介して過去が語られる事となる。
ところで西条副隊長は姫矢をよく知っている雰囲気だったが実際は何も知らなかった。では、あの異常な憎しみは何だったのか気になるが、西条副隊長の回想シーンに登場した人型ビーストと姫矢の外見が似ていたので、ひょっとしたら姫矢を幼い時からの憎き相手と思っていたのかもしれない。
怪しさ大爆発な根来だが悪人ではなかった。とは言え善人とも言い切れないところがこの人の面白いところ。
TLTの中での銀色の巨人のコードネームが「ウルトラマン」に決定される。
後に明らかになる新宿大災害の事を考えたら皆の記憶を蘇らせるきっかけになるかもしれない「ウルトラマン」と言う名前が採用された理由が気になる。東郷が了承するとは思えないので吉良沢の判断かな?
ネクサスがメタフィールドを展開した理由を孤門は「戦闘の被害を最小限に食い止める為」と考え、西条副隊長は「自分にとって有利な戦闘用亜空間に敵を引きずり込んだ」と解釈する。
メタフィールドの中ではネクサスの能力が向上して逆にビーストの能力が低下すると言う設定が劇中ではあまり語られなかったので孤門が正解で西条副隊長が見当違いな印象を受けるが実はどちらの考えも当たっていた。
西条副隊長はネクサスの目的を「ビーストの捕食」と予想する。
ビーストが人間を食料としているようにウルトラマンはビーストを食料としていると言うのは突飛ながらも面白い考えであった。
実際、今回のネクサスは以前に比べてバトルアビリティが強くなっていたので、メタフィールドの中で分子分解されたビーストはメタフィールドの一部となってそのままネクサスに吸収されると言う可能性はありえる。
残念ながら今後は闇の巨人が展開するダークフィールドが戦いの舞台となるのでメタフィールドに関する真相は謎のままとなった。
車に乗っていたらバックミラーに巨大な鉤爪が……と言うバグバズンの登場シーンが怖い……!
人間を捕食すると言う設定なのでビーストは他の怪獣に比べて人間を襲う場面が多い。
元々、怪獣は人間にとって恐怖や脅威の存在だったのだが段々と別の側面が出てきていた。それを本作のビーストでは再び恐怖や脅威の存在として描いて、ある意味、東宝怪獣映画初期の雰囲気に原点回帰したところがある。
昼間にバグバズンが出現した事を聞いた平木隊員は「ビーストの奴、日中はおねんねじゃなかったの?」と愚痴る。
設定等では「ビーストは夜行性」と言う記述があるのだが劇中では特にそのような説明が無かったので、この会話は唐突に感じたし、今まで夜間にしか活動していなかったビーストが日中も活動し始めたと言う衝撃も感じられなかった。こういう設定はちゃんと劇中でも触れておいてほしい。
ビーストを感知した姫矢はタクシーに乗って現場近くまで移動する。
う~ん、ヒーロー作品としては盛り上がらない展開だなぁ……。
これまで瞬間移動のように色々な場所に現れていたのだが今回の話でそれをしてしまうと根来が姫矢の後を追えなくなるのでタクシーでの移動になったと思われる。
ウルトラマンに変身する人間が特別チームに所属するのは現場までの移動の問題もあるからと言う話を聞いた事があるが今回の描写を見るとなるほどと納得した。
バトルアビリティが強くなったネクサスがバグバズンを圧倒するのを見た吉良沢はナイトレイダーにネクサスへの攻撃を指示し、「ウルトラマンは味方です!」と言う孤門の訴えに「だからだよ」と返す。
この時は吉良沢の意図は伏せられたままだったが、最終回の「絆 -ネクサス-」で一連の行動はビーストへの抗体を作る為に戦いを調整していたのだと明らかになる。おそらくネクサス、TLT、ビーストの力が均衡している状態を維持したかったのだと思われる。