帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「光を繋ぐもの」

「光を繋ぐもの」
ウルトラマントリガー』第1話
2021年7月10日放送(第1話)
脚本 ハヤシナオキ
監督 坂本浩一

 

超古代闇怪獣ゴルバー
身長 65m
体重 7万t
火星に突如現れた怪獣で超古代の遺跡を目指す。
一度はシズマ会長に撃退されるがカルミラの指示で再び侵攻を開始する。
地底を掘り進み空を飛ぶ事が出来る。
トリガー・マルチタイプのゼペリオンソードフィニッシュで大ダメージを受け、最後はカルミラにゼペリオン光線を防ぐ盾にされて大爆発した。
『Z』のトライキングの着ぐるみを改造している。

 

ウルトラマンティガ
身長 53m
体重 4万4千t
シズマ会長が「かつて勇敢に戦い、運命を切り拓いた者」として語る存在。

 

物語
火星で生まれ育ったマナカ・ケンゴは自分が作り出した花「ルルイエ」を咲かせる為に遺跡の土を手に入れようと考える。
一方、宇宙では闇の巨人カルミラの封印が解けていた。

 

感想
隕石がコツンと当たった程度で復活するカルミラに驚いたが、さすがに宇宙を漂っていて今まで隕石と一度もぶつかった事が無いとは思えないので、封印が解ける直前だったのでほんの少しの衝撃でも復活できる状態だったのだと思う。

 

マナカ・ケンゴは謎の女性に「あなたは光であり……」と告げられた直後に闇の巨人を見るがそれは夢だった。
『ティガ』のダイゴは最初は闇や悪夢と言ったものは見られなかったが終盤になって邪神や闇の巨人についての悪夢を見たり自身の闇を感じたりするようになった。一方の『トリガー』ではまず悪夢と闇から始まり、光の巨人トリガーより先に闇の巨人トリガーダークが現れるなど逆の展開になっている。

 

ルルイエと言う花はケンゴの研究で生まれた新種との事。
クトゥルー神話で「ルルイエ」と言う名前は嫌な予感しかしない。
現在は光となったケンゴが育てたルルイエはそういう嫌な予感は当たらなかったが、もしケンゴが闇に戻っていたら果たしてルルイエはどのような花を咲かせていたのだろうか……。

 

『ティガ』は地球から物語が始まって『THE FINAL ODYSSEY』で火星に旅立ったダイゴは次作『ダイナ』で火星で花を育てる事になり、一方の『トリガー』は火星から物語が始まって火星で花を育てていたケンゴが地球に旅立つ展開となっている。

 

細かいところだが、『トリガー』はマナカ・ケンゴの母レイナがシズマ財団の会長を火星の遺跡に案内するところから物語が始まり、『ダイナ』はアスカがサワイ前総監を火星の施設まで護衛するところから最終章が始まっている。(ただし完全版のみ)

 

タイトル画面での子供達の「ウルトラマントリガー!」の声のように本作ではあちらこちらに『ティガ』をオマージュした仕掛けがあって見ていて懐かしい気分になれる。

 

最初は視聴者と同じような世界に見えたが「16時から雨の散布」と言う台詞で視聴者が「おや?」と思ったところで舞台が地球ではないと明かす流れが上手かった。
ウルトラシリーズはSF作品の要素があるが未来を舞台にした作品は意外と少なく、又、進んだ技術があっても特別チーム等の一部に使われるだけで一般人の生活は現代と変わっていない事が多かったので、火星への移住が成功して一般の人々が日常を送れるレベルにまでなっていると言う設定は刺激的だった。
別世界ではあるが『ティガ』で地球上の問題が解決され、『ダイナ』で宇宙に進出して火星開拓が始まり、『トリガー』で火星への移住が成功したと言う流れを見る事が出来る。

 

植物研究センターの場面は周りにたくさんの人がいる中でケンゴが延々と独り言を続けると言うちょっと不思議な場面になっている。
脚本のハヤシナオキさんはアニメやゲームの脚本を多く手がけているのでアニメやゲームでは違和感が無い主人公の独り言を実写で役者がやったらおかしくなったと言う事なのかなと思ったが、この「周りから浮いている」「周りに溶け込めていない」と言うケンゴの普通の人間とはちょっと違う部分は今後もところどころで出てくる。

 

『ティガ』の物語は地上にピラミッドが出現するところから始まるが『トリガー』の物語は地下にピラミッドが発見されるところから始まっている。
因みに『ダイナ』の「新たなる影」で火星にテラノイドの巨人像が出てくるがこれはゴンドウ参謀がティガの地の巨人像の分析データを基に火星秘密基地で復元したものなので『ティガ』『ダイナ』の世界では火星に超古代関係の遺跡は無いと思われる。

 

『ティガ』の「光を継ぐもの」では「大地を揺るがす怪獣ゴルザ」と「空を切り裂く怪獣メルバ」の二体が登場するが『トリガー』では地底を掘り進んで空を飛ぶゴルバーが登場している。
ゴルバーを見たシズマ会長は「ゴルザとメルバが融合されている」と分析するが『トリガー』ではゴルザとメルバが単独で出る事は無かったのでこの世界ではゴルザとメルバと言う種は存在しないで最初からゴルバーと言う種が誕生している可能性がある。
この世界では人類の前に姿を現していないゴルザとメルバの存在をシズマ会長がどうして知っているのかについては後の話で明らかになる。

 

シズマ会長がGUTSスパークレンスのハイパーガンモードでゴルバーを追い払ったのには驚いた。さすがは宅麻伸さんである。

 

シズマ会長はケンゴに「君が夢見る未来は何だ?」と問いかけ、それに対するケンゴの「どんなに苦しい時でも悲しい時でも見た人が皆思わず笑顔になる、そんな花を咲かせたい。皆を笑顔にしたい」と言う答えを聞くと「だったら君は自分の手で運命を切り拓かなければいけない」「夢見る未来を手に入れる為、自分には何が出来るのか。それは誰も教えてはくれない。自分自身で出さなきゃならない答えもある」と告げてGUTSスパークレンスを差し出す。
一見すると良い場面なのだが、シズマ会長はケンゴに「自分には何が出来るのか自分自身で答えを出さなければいけない」と言いながら「怪獣と戦う」と言う答えをケンゴが選択するように誘導していたところがあった。
シズマ会長はティガの存在を知っているのでケンゴでその再現をしようとしていた。『ダイナ』でアスカの正体が周りに知られるのはかなり後半になってからであったが、もしアスカがダイナである事が早い段階で公になっていたら、アスカは消えてしまった救世主ティガの代わりを求められる事になっていたであろう。

 

カルミラの言葉は日本語と謎の言語の二重になっている。ケンゴが「何で僕、異星人の言葉が分かるんだ?」と言っているので、カルミラが超古代の言語を使っていて、それを聞いたケンゴが頭の中で日本語に翻訳しているようだ。
人間ではない存在が人間と同じ言葉を使うのはおかしいのでこの演出はなるほどとなったが、ぶっちゃけると台詞が聞き取り難かった……。(だから、この演出は最初の方だけだったんだろうなぁ)

 

カルミラはケンゴに向かって喋っているのかと思いきや実はケンゴの後ろにあるトリガーの巨人像に話しかけていて、ケンゴが「やめろー!」と叫んでようやく視界に入った感じであった。
この時のカルミラにとってケンゴは取るに足らない存在であったが、実はそのケンゴこそが自分が求めていたトリガーそのものであったと後に知る事になる。

 

カルミラの攻撃を受けて傷付いた顔で「僕は皆を笑顔にしたいんだー!」と叫ぶケンゴ。
最初は笑顔が多かったが「皆を笑顔にしたい」と言う決意を固めれば固めるほどケンゴから笑顔が失われていっている。
ケンゴと言えば「スマイルスマイル♪」といつも笑顔のイメージがあるが後の話を見ても意外と笑っていない場面が多い。皆を笑顔にする為にケンゴ自身は笑顔を失ってしまうのはヒーロー作品によくある自己犠牲の精神が関わっていると思われる。この自己犠牲の精神は「笑顔を信じるものたちへ」でケンゴに一つの決断を下させる事になる。

 

トリガーの巨人像のカラータイマーから出た光がケンゴのGUTSハイパーキーに宿り、巨人に変身するイメージを見たケンゴはそのイメージに従ってトリガーに変身する!

 

トリガーとゴルバーの戦いでカメラのアングルがグルグル変わるのが凄い!
『ティガ』でCGが取り入れられて今までに無い新しい映像が作られたが、そこから25年の時が経った『トリガー』でも新しい映像がドンドン作られていく。

 

トリガーとカルミラの戦いは雨の散布が行われた事で泥だらけの戦いとなった。
第1話からこんなにスーツを汚して大丈夫なの!?と思わず心配になってしまう。

 

「私に会う為に人間を取り込んで復活したのかい? ずいぶん情熱的じゃないか」。
ケンゴがトリガーに変身するところを見てもカルミラはケンゴの意思は全く気にしておらずトリガー中心にしか物事を見れていない。

 

ゼペリオンソードフィニッシュを受けたゴルバーが大爆発を起こすがなんとか生き延びる。あんな大爆発を起こしてよく生きていられたな……。

 

戦いを終えたケンゴはGUTSスパークレンスを返そうとするがシズマ会長はケンゴにGUTS-SELECTへの入隊を勧める。
『トリガー』ではトリガーになる前のケンゴはシズマ会長に助けられているが、『ティガ』ではティガになる前のダイゴはサワイ総監を助けた事がGUTS入隊のきっかけになった事が「南の涯てまで」で語られている。

 

トリガーはタイプの名前が「マルチタイプ」で必殺光線の名前が「ゼペリオン光線」とティガと同じになっている。個人的にはここは「メガ・ゼペリオン光線」とかでも良いので名前を変えてほしかった。

 

エンディング曲はChouChoさんの『なないろのたね』となっている。
今回はオープニングに歌は流れなかったが戦闘シーンでオープニング曲である佐久間貴生さんの『Trigger』が使われた。「pull the trigger」の「trigger」の部分が「ティガ」に聞こえるのが最高!

 

『トリガー』は「NEW GENERATION TIGA」と言う副題が付けられているように『ティガ』を意識した作品となっている。
今回の話は『ティガ』の第1話「光を継ぐもの」に劇場版の『THE FINAL ODYSSEY』の要素を加えて再構成した感じになっていて、『ティガ』の第1話の時点では存在していなかったネオフロンティア計画や闇の巨人の設定を最初から物語に組み込んだらどうなるかと言う内容になっていた。結果としてTVシリーズの『ティガ』とは随分と雰囲気が異なる感じになり、『ティガ』のTVシリーズと劇場版は設定や雰囲気が大分違っていた事が改めて分かる。

 

今回の話はハヤシナオキさんのウルトラシリーズ脚本デビュー作となっている。

 

 

「ホッタとマルゥル」
『ナースデッセイ開発秘話 ~特務3課奮闘記~』第1話
脚本 足木淳一郎
監督 村上裕介

 

『タイガ』『Z』では主人公のウルトラマンと地球人はトライスクワッドとヒロユキ、ゼットとハルキと言ったように別人格になっていて、本編であまり取り上げられなかったウルトラマン達のエピソードはボイスドラマで描かれる事となった。一方の『トリガー』ではトリガーとケンゴが同一人物でウルトラマンに関するエピソードも本編で殆ど描かれる事となり、その為か2021年のボイスドラマはトリガーではなくギャラクシーレスキューフォースが取り上げられた。
ボイスドラマの代わりに『トリガー』ではツブイマで人間の役者も登場するスピンオフ作品が作られた。『トリガー』は『タイガ』『Z』に比べてトリガーや闇の巨人と言ったウルトラマンに関するエピソードが多くて逆にGUTS-SELECTを始めとした人間達のドラマは薄くなっていたので、その補完になった。

 

『Z』の整備班は『機動警察パトレイバー』っぽい感じだったが今回の特務3課は『釣りバカ日誌』のようなサラリーマン漫画な感じになっている。

 

マルゥルによると公にしていないだけでTPUは結構宇宙人をスカウトしているらしく、ホッタも実際に会った事は無かったが宇宙人に関する話は色々と聞いていたらしい。
初めて宇宙人と直に会ったホッタが宇宙人に悪感情を抱いていないのはウルトラシリーズでは結構珍しい。『トリガー』はウルトラシリーズの中でもポジティブなイメージがある作品だが、それは『特務3課奮闘記』で地球人と宇宙人の関係が良好に描かれていた事が大きかったと思う。

 

マルゥルとタツミ隊長の話は『トリガー』本編の「狙われた隊長 ~マルゥル探偵の事件簿~」で詳しく語られる事になる。