帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「満月の応え」

「満月の応え」
ウルトラマンアーク』第7話
2024年8月24日放送(第7話)
脚本 勝冶京子
監督 越知靖

 

灼熱怪獣ホムガー
身長 58m
体重 4万t
「噴火を起こす怪獣」として世界各地に「ホムガー伝説」が残されている怪獣。
地底深くで眠っていたが地上に現れた。
鋭い爪で相手を切り裂き、口から炎を吐き、牙で相手のエネルギーを吸い取る。
出産と同時に爆発してエネルギーを子供に与えて命を繋いでいく。爆発したら星元市そのものが消滅するほどであったがアークのルーナアーマーのルーナトルネードソーサーで街は守られた。
伝説に「ホムガーは精霊と共に現れる」と記されている通りホムガーの存在を伝える精霊がいてアークであるユウマの前に姿を現した。
親のホムガーが爆発した後、子のホムガーと精霊は光となって消えた。

 

物語
異常な暑さに襲われる星元市で地面からお湯が噴き出すようになる。
調査に出たユウマはここから離れるよう告げる謎の女性と出会う。
そして直後に地底から怪獣ホムガーが現れる。

 

感想
少年時代のユウマが「つきのちから」を持つヒーローの絵を描いている場面がある。
「母親に「お月様みたいに皆を守れる人になってね」と言われる場面と絵を描く場面が違う日になっている」「絵を描いているユウマの手に父親の形見の時計が付けられている」からユウマがヒーローの絵を描くようになったのはモノゲロス案件の後である事が分かる。
怪獣に襲われて両親を失った少年がわずか7歳か8歳で「今度は自分がヒーローになって皆を守る」と考えるようになったのだった。

 

今回登場したホムガーのデザインは津島直人さんが担当している。
ホムガーのデザインはシンプルながらもこれまでのウルトラ怪獣とはちょっと違った雰囲気の色で印象に残るものであった。
四足歩行の怪獣は後ろ足を曲げて膝を地面に付けるタイプが多いのだが、ホムガーは『帰マン』の「恐竜爆破指令」に登場したステゴンのように後ろ足の膝を伸ばして地面に付けないタイプになっている。

 

日本で四足歩行の怪獣と言えば『ゴジラの逆襲』に登場したアンギラスが有名。
アンギラスは脳を体内に複数持っていると言う設定だったので、「四足歩行の怪獣であるホムガーの体内から二つの心音が聞こえてくる」から「ホムガーは複数の心臓を持つ可能性がある」と言うユウマの説明が出てきて自分は「あぁ、同じ四足歩行であるアンギラスみたいなものね」と納得して見事にミスリードに引っかかってしまった。

 

精霊が口にした「ホムガー」と言う言葉からユウマは「ホムガー伝説」を思い出す。
この手の展開だとウルトラマンである主人公が人間以外の存在から得た情報をうっかり口にして皆に不審がられてしまう事が多いのだが、今回のユウマは最初に謎の女性を目撃した時以外は周りに不審がられるような事は無かった。
異常な暑さとかホムガー伝説を伴所長も知っていたとかでユウマの言動が周りから浮かないようになっていたのはウルトラシリーズでは意外と珍しいかも。

 

怪獣側にドラマが用意されている話では防衛隊の攻撃があえて強調されて視聴者が防衛隊に悪い印象を抱くようにされる事が多いのだが、今回は「『アーク』の世界では昔から防衛隊が怪獣と戦っていた」「昼間にアークがホムガーと戦って敗北している」「夜になるとホムガーが爆発して街が消える可能性がある」と防衛隊がホムガーを攻撃する流れを自然にしていて視聴者が悪い印象を抱かないようにされていた。(結果として視聴者が防衛隊ではなく怪獣のホムガー側にあまり良い印象を抱かなくなってしまったところはあるが)

 

ルーナアーマー登場。
月の力を持つウルトラマンだからか今回は『コスモス』のような展開であった。

 

今回の話ではホムガーの精霊である杏樹の言動が視聴者の賛否を呼んだ。
杏樹が何を望んでいたのかハッキリと語られていないので分かり難かったところがあるが、「ホムガーが爆発すると街が一つ消えるレベル」「杏樹が「ここから離れて」「ホムガーをここでそっとしておいて」と訴える」を組み合わせて考えると「ホムガーが出産をすると大爆発が起こるから人間はここから避難してほしい」が杏樹の望みとなる。つまり、彼女の言う「共存」とは「人間とホムガーが同じ場所で暮らす」ではなく「ホムガーの都合に合わせて人間に動いてほしい」であったと思われる。
しかし、街を作った人間はそこを捨てて余所へ避難する事は簡単には出来ない。結果、ホムガーと人間は衝突する事になってしまう。
怪獣であるホムガーの都合を人間に押しつけてくる杏樹は随分と勝手だなと感じるが、実は『アーク』のこれまでの話を振り返ると「伝説は森の中に」では人間がマンションを建築する為に怪獣リオドは倒され、「ただいま怪獣追跡チュウ」では電気を食べられたら社会に多大な被害が出るとして怪獣ネズドロンは倒され、「峠の海」では人間が生活している場所を海にしてしまった為に怪獣リヴィジラは倒されると人間の都合によって多くの怪獣達が倒されていた。これまでの話のアークやユウマは人間の都合を怪獣に押しつける随分と勝手な存在だったのかもしれない。
簡単に言うと今回の話は「これまでは人間が自分達の都合を怪獣に押しつけていたが、今度は怪獣側が自分達の都合を人間に押しつけようとしてきた」だと思われる。全体的に説明不足なところがあったが「相手の都合を想像する」は『アーク』と言う作品にとって大事なものだと思う。

 

今回の話で残念なのは前回の「あけぼの荘へようこそ」でアークがシャゴンの一体を倒さないで見逃した事であろう。
「これまでアークやユウマは人間の都合を押しつけて怪獣を全て倒していたが今度は逆にホムガーや精霊の都合を押しつけられてしまい、その事がきっかけでユウマは怪獣側の都合にも想像力を働かせるようになって、ただ怪獣を倒すような事はしなくなった」となれば良かったのだが、実際は直前の回で「アークやユウマは人間を襲って食べようとするシャゴンが相手でも戦意を失ったら倒そうとはしない」をやってしまっているので、精霊が「ウルトラマンの力はただ戦う為だけにあるの?」とユウマを糾弾しても「既にユウマは怪獣をただ倒すのではないと言う考えが出来ているのに」となってしまった。
今回の話は「ユウマが精霊からホムガーの事情を知らされるまで怪獣を倒す以外の選択肢を想像できなかった」が大事だったと思うので、それまではアークやユウマには怪獣を見逃させない方が良かったと思う。

 

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