「ウルトラの女戦士 ー宇宙星獣ガルバドス登場ー」
『ザ☆ウルトラマン』制作第33話
1979年10月31日放送(第31話)
脚本 吉川惣司
絵コンテ 横山裕一郎
演出 辻勝之
宇宙星獣ガルバドス
身長 94m
体重 8万2千t
バデル族が残した宇宙星獣でアミアを追って地球にやって来た。
口から炎を吐き、触手で相手を締め上げる。
ジョーニアスのプラニウム光線とアミアのアミアッシャーを受けて倒された。
予告ナレーションによると、ウルトラ人を皆殺しにするまで戦うよう作られているらしい。
物語
ヒカリへの想いを捨てきれないアミアはスターシンボルを持ち出して地球に旅立ってしまう。
一方、バデル族の残した宇宙星獣ガルバドスがアミアを追って地球に向かう。
感想
アミア再登場。
ヒカリに想いを寄せるが「地球人とウルトラ人は結ばれない」と言う運命に翻弄されてしまう。だが、この障害が逆にアミアを燃え上がらせる事になる。
このヒカリとアミアの関係は『セブン』のモロボシ・ダンとアンヌ隊員の関係を逆転させたものとも言える。
アミアは兄に会う為に地球に行きたいと大賢者に訴えるが本当の理由はヒカリだと見抜かれ、バデル族の生き残りがいる可能性があるからと諦めるよう告げられる。
部屋に戻ったアミアはヒカリのホログラフィを前に涙する。
エレクの話によると、ウルトラ人は地球に行っても誰かの体を借りなければならず、その為にはスターシンボルが必要らしい。
思いつめたアミアは遂にスターシンボルを持ち出して地球に旅立ってしまう。
地球に辿り着いたアミアは光の球の状態で体を借りる相手を探して夜の街を彷徨い、遂に京子と言う女性と出会う。
アミア、もう少し隠密に動きなさいよ。説明が無いと悪い宇宙人が侵入してきたのかと思うような怪しさ大爆発さだったぞ。
一番最初に登場した山中のキャンパーの場面が『初代マン』放送第1話の「ウルトラ作戦第一号」を思い出させる。
幼い時の事故が原因で自由に動けなくなった京子。
光の球の最後の目撃者として話を聞きに来たヒカリは京子とどこかで会った気持ちになる。それを聞いた京子は「ヒカリさん、私もあなたにどこかでお会いしたような気がします。思い出しませんか! いつ! どこで!」と強く迫るが、病院と学校以外に外に出た事の無い京子がヒカリと会ったはずが無いと父親に止められてしまう。
京子と会ったヒカリの様子がおかしい事に気付くムツミ隊員。
その京子がヒカリに会いに極東ゾーン基地に来た事を知ったピグはヒカリをからかい、二人を覗き見しようとする。「光るペンダントの秘密」でもそうだったが、ピグは恋愛話になるとかなり下世話。今回はさすがに無神経だとトベ隊員に怒られている。
ここで気になるのがムツミ隊員。ヒカリと京子を無表情で見つめているのが怖い。
ヒカリは京子とどこで会ったのか思い出せなかったが、京子は「でも、今、私達が一緒だって言う事は本当の事。そうでしょ? それだけで私は幸せよ」と手を重ね体を寄せてくる。
しかし、そこにガルバドスが現れて京子は炎に焼かれてしまう。
京子はかなりの高温で体を焼かれながらも生命反応を残していた。責任を感じたヒカリは病室に残る事になり、ムツミ隊員はその様子を見ながら無言で病室を出ていく。この場面は本作品におけるヒロインの交代が行われたような印象的を受ける。
ジョーニアスは自分のエネルギーを京子の中にいるもう一つの精神に与えたら助かるだろうと告げ、ヒカリの手を通して京子にエネルギーを送る。
さらにジョーニアスは以前に消していたヒカリのU40での記憶を思い出させる。
ヒカリはベドランとの戦いで命を落としたまでは覚えていたがU40に運ばれた後の事は思い出せていなかった。しかし、ジョーニアスから返された記憶によって他のウルトラ戦士や大賢者、そしてアミアの事を思い出し、アミアが自分の事を思い出してほしい為に似た顔の京子の体を借りた事を知る。
「ウルトラの秘密は守らねばならない。だが、君だけは別だ」と告げるジョーニアスにヒカリは「ありがとう、ウルトラマンジョー。思い出を返してくれて」と答える。「ウルトラマンジョー」と言う呼び方をヒカリ以外はしないのですっかり忘れていた。
ところでこの場面には矛盾がある。実は「これがウルトラの星だ!! 第3部」でヒカリはU40の事はおろか自分が死んだ事すら覚えていなかったが別れ際に宇宙船から姿を見せたアミアの顔を見てジョーニアスからアミアの事を聞かされたのでアミアの事は知っているとなっている。それなのにこの場面では覚えている事と忘れている事が逆になってしまっている。自分の死亡やU40に連れて行かれた事は他の隊員から話を聞いたと考えられるが、アミアに関する記憶を失った理由が分からない。
今回の話だけでなく「怪獣島浮上!!」や「悪魔のUFO大襲来」でもヒカリが記憶を消されているはずのウルトラ戦士達の事を知っていると言う矛盾があった。他のウルトラシリーズと違って本作はウルトラの星関連の設定や描写が描きこまれていただけにこういう矛盾は残念。
ガルバドスの前に苦戦する科学警備隊。
そこにジョーニアスが現れたのを見たマルメ隊員は「ウルトラマンが来てくれたからもう大丈夫だ」と喜ぶ。
段々とジョーニアスへの依存心が強くなっていっている。
既にアミアと京子にエネルギーを送っていたジョーニアスはガルバドスとの戦いで危機に陥る。それを感じ取った京子は目を覚ますと「ヒカリ……ヒカリー!」と叫んでアミアに変身する。相変わらず兄さんの存在を完全無視する妹さんだ。
ジョーニアスはU40に帰るよう促すがアミアは受け入れず、アミアのアミアッシャーとジョーニアスのプラニウム光線でガルバドスを倒す。
戦い終わり、ヒカリは今度は「京子」ではなく「アミア」と呼びかける。抱き合う二人。
ヒカリ「アミア、僕も君と一緒にいたい。君がこのまま地球にいてくれたら、どんなに素晴らしいか」、
アミア「ありがとう、ヒカリ。でも私はすぐに帰ります、U40へ。さよなら、ヒカリ」。
そして京子の体から離れたアミアはU40へと帰っていった。
その後、京子は自分がジョーニアスと一緒に戦う夢を見て、目を覚ますと歩けるようになっていたと語り、京子の奇跡にあの夜に見た謎の光の球は天使だったのかと言う話になる。
「それは短い再会であった。しかし、ヒカリの心にはウルトラの女戦士アミアの面影がいつまでも残る事であろう」。
そう言えば、ジョーニアスはヒカリとアミアの関係をどう見ているのだろうか? 気になる。とりあえず、兄の事を無視してヒカリの事ばかり呼ぶな!くらいは妹に言いたいところかな?
現在、ウルトラマンは50人を超えているが、「弟」はたくさんいるのに「妹」は少なく、実写作品では2019年に公開された『劇場版 ウルトラマンR/B セレクト! 絆のクリスタル』に登場した「ウルトラウーマングリージョ」が初となっている。