帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「トレギア」

「トレギア」
ウルトラマンタイガ』第2話
2019年7月13日放送
脚本 中野貴雄
監督 市野龍一
特技監督 神谷誠

 

海獣チビスケ
身長 75cm
体重 7kg
12年前に子供のヒロユキに拾われて育てられたがレキューム人に連れ去られてしまった。
チョコが好物。

 

海獣キングゲスラ
身長 68m
体重 2万1千t
チビスケがレキューム人に改造された怪獣兵器。
全身からベノムショットを放つ。
脳にコントロールチップを埋め込まれたがヒロユキと再会して自我を取り戻す。
最後はトレギアの攻撃からヒロユキとタイガを庇って倒されてしまった。

 

電波怪人レキューム人
身長 190cm
体重 85kg
ヴィラン・ギルドの構成員で12年前にキングゲスラの幼体であるチビスケを連れ去った。
キングゲスラを怪獣兵器に改造して怪獣オークションにかけるが、ホマレに見付かって取り押さえられる。

 

宇宙商人マーキンド星人
身長 180cm
体重 85kg
ヴィラン・ギルドの構成員で怪獣オークションを取り仕切っていたがトレギアが出現したのを見てオークションを中止する。

 

物語
12年前から自分の中にタイガがいた事に驚くヒロユキ。
そんな中、外事X課の佐倉警部がE.G.I.S.に怪しい事件を持ち込む。
その事件はヒロユキの運命を大きく変える事になるのだった。

 

感想
トレギアとの戦いに敗れたタイガは光の粒子となって時空の狭間を彷徨っていたが、何者にも恐れず立ち向かうヒロユキの勇気に引き寄せられて一体化したのであった。
「俺はお前の命を救ったんだぞ」とタイガが言っているが、命を救った地球人にわざわざ恩に着せる発言をするウルトラマンも珍しい。その後の「自分のバディに選ばれた事を誇りに思え」もだが、この辺は「バディゴー!」でも見られたタイガのウルトラマンであるが故の傲慢な部分と言える。
因みにタイガがいなければヒロユキの命が無かったのは事実だが、一方でトレギアに敗れたタイガが復活するにはヒロユキと一体化してエネルギーを回復しなければいけなかったので、実はお互いに命を助け合った対等な関係であったりする。

 

タイガの姿をヒロユキ以外には見えないイメージ体で表現したのが面白かった。
基本的にウルトラシリーズはインナースペースのような不思議空間でなければ一体化している地球人とウルトラマンが一緒にいる場面は無かったのだが、イメージ体を出す事で日常の場面でも一体化している地球人とウルトラマンが顔を合わせて会話する事が出来るようになり、「一つの体に複数の人格がある」と言う一心同体タイプだからこそのやり取りを多く作れるようになった。

 

そう言えば実体があるか無いかの違いはあるが、『ギンガ』でスパークドールズにされたタロウも今回のタイガのイメージ体くらいの大きさでヒカル達とお喋りしていたなぁ。

 

外事X課の佐倉警部が登場。
バディゴー!」で宇宙人と何らかの関わりがあると描写されたカナだが今回の話で警察と訳ありの関係であった事が語られる。
E.G.I.S.は『怪奇大作戦』のSRIのような民間の組織であるが、佐倉警部も『怪奇』の町田警部のような立ち位置となっている。因みに佐倉警部を演じる風見しんごさんも町田警部を演じた小林昭二さんも過去にウルトラシリーズで特別チームの隊長を担当していると言う共通点がある。

 

キングゲスラが出現するが負傷した人を助ける事を優先するヒロユキに対してタイガは怪獣を倒す方を優先しようとする。
タイガはタロウやメビウスと違って地球に派遣される予定ではなかったので彼らに比べて地球人目線に立って考えると言う発想が弱いところがある。
ヒロユキが救助を優先したのは彼が防衛軍所属ではなく民間の警備会社に勤めていて敵を倒すよりも何かを守る事が仕事だからと考えられる。

 

ニュージェネレーションシリーズでは怪獣は人形やカードやカプセルやクリスタルを使って召喚する事が多かったが、『タイガ』ではそのパターンで登場する怪獣は少なくなっている。
今回の『タイガ』は「野良の怪獣を兵器に改造して怪獣オークションにかける」と言う設定で、「野良怪獣」の部分で怪獣の生態を描き、「怪獣兵器」の部分で街中にいきなり現れる不自然さを解消し、「怪獣オークション」の場面でマーキンド星人に怪獣の解説をさせたのが上手かった。

 

コントロールチップを埋め込まれたチビスケはヒロユキの存在によってレキューム人の制御から逃れるが、その直後に霧崎に脳に干渉されて再び暴れさせられてしまう。
大人しくすると暴れさせるの違いがあるが、コントロールチップを使わずにチビスケの行動を変えたと言う点でヒロユキと霧崎は同じであったと言える。

 

ヘルベロスリングを使う事でタイガは怪獣の能力を使用する事が出来る。
主人公側が怪獣の力を使う事は過去の作品にもあったが今回は大きなリスクが潜んでいた。それはまた後の話。

 

タイガは放っておいたら被害が広がるとしてチビスケを倒そうとするがヒロユキの説得を受けて思い留まる。しかし、トレギアはそれを「チョコレートより甘い」と言ってチビスケを倒してしまうと「放っておいたら被害が広がっていた」とタイガと同じ台詞を吐く。
だが、ヒロユキと再会して大人しくなったチビスケを再び暴れさせたのはトレギア自身なので、トレギアの発言は文字にしたらタイガと同じ事を言っているがその意図は全く違っている。

 

ヒロユキとベビーザンドリアスやチビスケとのやり取りは悪意の無い怪獣は倒さないようにした『T』に通じるものがあった。
そう言えば、チビスケがヒロユキとタイガをトレギアの攻撃から守ったが、巨大怪獣がウルトラマンを助けようとしたのは『T』の「怪獣よ故郷へ帰れ!」が初めてだったはず。

 

タイガは友達だったタイタスとフーマをトレギアに倒され、今回の話でヒロユキも友達だったチビスケをトレギアに倒されてしまった。今回の話でタイガとヒロユキは対立を繰り返していたがこの事によって「トレギアは許せない」と一致団結する事になる。

 

「タロウの息子」と挑発されたタイガはトレギアに挑みかかるが苦戦を強いられロッソレットを使って形勢を逆転させようとする。
因みにカツミがロッソに変身するにはタロウの力を宿したクリスタルを使用するので、ロッソの力を使おうとしたタイガは間接的に父親のタロウの助けを借りようとしたと見る事が出来る。

 

最後の霧崎と女の子の風船を使ったやり取りは『T』の「さらばタロウよ! ウルトラの母よ!」や『メビウス』の「運命の出逢い」を思い出す。他人の幸せを素直に喜ぶ事が出来るタロウとそれが出来なくてわざわざ苦い思い出を植え付けようとするトレギアと二人の違いがよく分かる場面となっている。
タロウと一体化していた東光太郎が風船を持つ少女の幸せを喜んでから数十年後、タロウの弟子は少女に風船を渡すようになり、タロウの親友だった男は少女の風船を割るようになったと言う壮大な大河ドラマウルトラシリーズだから出来たものと言える。

 

 

 

 


【監督コメント付】『ウルトラマンタイガ』次回予告 第2話「トレギア」 "ULTRAMAN TAIGA" episode 2 Preview + Director interview !!

 

 

「未来の思い出 後編
『トライスクワッド ボイスドラマ』第2回
挿絵 後藤正行
文芸 池田遼
演出 足木淳一郎

 

メビウス』の後日談。
メビウス』から『大怪獣バトル』までの間にかなりの年月が経過しているので、実は今のウルトラシリーズは『Q』から『メビウス』に登場した地球人の殆どが亡くなっている事になる。
『初代マン』の「さらばウルトラマン」でウルトラマンが数万年単位で生きている事が明らかになっているので、ウルトラマンと地球人は寿命の関係でいつか必ず別れる事になるのだがその事を扱う話は少なかった。

 

『Q』から『メビウス』まで舞台になった地球はメテオールによって技術が格段に発展したが、まさか光の国に物を送れるレベルにまで進歩するとは思わなかった。漫画なのでどこまで取り上げられるか分からないが、いつか『ウルトラ超伝説』で描かれたところまで辿り着けそうだ。

 

今回のボイスドラマは『メビウス』が好きな人は必聴の内容となっている。
今回の話を聞いて改めて『ウルトラ銀河伝説』のメビウスを見ると色々と感慨深いものがある。


【ウルトラマンタイガ】『トライスクワッド ボイスドラマ』第2回「未来の思い出 後編」-公式配信- "Tri-Squad Voice Drama" episode2

 

 

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